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中小企業家群像

相手のために問いかける ~社会に必要とされる企業であるために~
澤田 努 氏

株式会社ライフィ
代表取締役
澤田 努 氏(港支部)

【会社概要】
設 立 2000 年 8 月29 日
従業員数 21 名
事業内容 ウェブ制作・ウェブサイト運営事業、ウェブコンサルティング事業、広告代理店業、生命保険・損害保険・少額短期保険の保険代理店事業
所在地 東京都港区三田3-1-17
アクシオール三田8 階
URL  https://lify.co.jp/

「無から有を生み出すことが大切。AI の登場でさらに、このような能力が求められる社会になっていくと思うんです」と弾んだ調子で語る澤田 努氏(港支部)。ある晩、お子さんとお風呂に入っているとき、「湯気がでる日と、出ない日があるのはなぜ!?」と質問をされたそうだ。いろいろなやりとりを重ねると、お子さんはパッと明るい顔になり「あっ!寒いと湯気が出るじゃない?ママ~、氷もってきて~」と声が浴室に響いた。そこから2人の実験が始まる。
ビジネスには現在地があり、そして目指すゴールがある。この道程を自ら考え、拓いていくか?それはまさに澤田氏が総合保険乗合代理店ライフィの経営で大切にしていることだと言う。

現在の保険代理業に行きつくまで、キャリアごとに学びを重ねた。新社会人生活は印刷業の営業から始まる。約6年在籍し、3年後にはトップセールスであり粗利率もトップとなったそうだ。「でも、入社当初はお客様から怒鳴られ率ナンバーワンだったのです」と笑う。言った言わないなどの議論になっても正しいと思ったらひかなかった。そしてあるお客様から「客が黒と言ったら白い物も黒くなるんだ」と怒鳴られ「へぇ、仕事ってそうなんだ。事実が正しいわけではないのか」と腑に落ちたと語る。
そしてもうひとつのエピソード。とある通販会社のDM 印刷を間違え、大クレームになった。澤田氏は工場の協力を取りつけ、早急に印刷物を納め直したところ、顧客から手を握られ「君のおかげで、我が社は救われた」と感謝をされたという。当時、激務で不眠の日々が続いていた澤田氏だったが、その晩はうれしくて眠ることができなかった。「ミスしてまず怒られた。これに対応した。大いに感謝された。いま自分もうれしい。そうか、仕事とは“お客様のうれしい” を納品することなんだ」との発想に行きついた。これがナンバーワンセールスの要諦である。

次いでのキャリアは専門学校の広報担当職。転職時の面接官(入社後の上司)から、「澤田君、教育に限界はないぞ」のひと言が決め手であった。広報職のみならず、部門を束ねる管理職まで幅広く携わることとなり、30歳前で約5億円の予算配分も託された。「成長が出来ていること、大きな仕事を任せてもらえること。この2つがいかにやりがいを生むか?を学びました」と語る。また、ネットの無い時代に雑誌広告や学校見学会のPR の反響があるかを、データ分析し、1年後の入学者数を予測すること。予算配分から年間計画・実践をスタッフと学生が不満を持つことなく実行すること。これらの経験は保険ネット通販を主軸とするライフィにも活かされている。

専門学校を退職後には、偶然共済会の設立に携わる。ここから保険業界と通じ、法人向け生命保険販売を入口に2000年にライフィ設立。がしかし、法人保険は税制改正の影響が大きく、自社事業リスクのコントロールが自らができないことに危機感を覚える。そして2004年に業界としてもいち早く保険のネット通販へと舵をきった。ネット販路が軌道に乗るまでには多くの時間を要した。
その間にリーマンショックや東日本震災の打撃も受けた。債務超過も数億単位に膨らみ日々運転資金に悩む日が続き、2011 年ごろにようやく軌道に乗り借金返済の目途がついた。そして澤田氏はふと、こう思ったという。「何のために仕事をしているのか。本来の目的は、日本の隅々まで保険情報をお届けすることだったはず。この先10年はどこへ向かうべきか」と。
その後、海外マーケットの可能性に目を向け海外視察に赴き、いくつかの経営者勉強会にも参加。結果、東京同友会へ入会。㈱木村工業の木村晃一氏(大田支部)のお話が響き、成文化セミナーへの参加も決めた。「自分の奥底を見つめ直すことができたよい経験でした。社員に保険の素晴らしさを語りながら、心の奥底では借金返済が一番の目的へと変化していたことに気づけた。社員は気がついていたでしょうね」と手元を見つめる。
「お客様に育てていただき、そして社内の仕事を任せてもらえることの有難さを学びました。会社の宝は社員です。その代わり社員には﹃責任も持てよ﹄って釘もさしますけどね」といたずらっぽく笑った。

お客様のことを想い、純粋に疑問を持ち語りかけ、そして自らも成長をしていくライフィのあり方がここにある。

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