身近で親しみやすくあるために ~ 真摯に耳を傾ける経営を ~
高蔵建設株式会社 半田 靖 氏(江戸川支部)
高蔵建設株式会社
代表取締役
半田 靖 氏(江戸川支部)
【会社概要】
設 立 1977年 12 月 15 日
社員数 20人
事業内容 総合建設業(建物の改修、リニューアル工事、新築工事)
所在地 東京都新宿区西新宿七丁目15番1 号 アパライトビル7 階
H P http://www.takakuracon.co.jp
「社名は先代二人の出身校名から、と聞いています。蔵前工業と高千穂を併せて高蔵建設。社名の由来からすると地元愛がありそう。ですが、会社は新宿に。ん~よくわからないですけど、都内のアクセスに便利だからじゃないですかね」と冗談からはじめる半田靖氏。
なぜだか親しみを覚えてしまう社名の響きはどこからくるのか。
「そうそう、こんなことがありました。当社は建物の改修、リニューアル工事を専門にしています。九段下にある外国大使館に飛び込んだ際、対応してくださった方が「高倉健が来た」と笑ってくれたのです。ちょっと当社の名前と被るんです」と笑う。「有難いことに当社はお客様に恵まれています。お客様との取引は上場企業、ないしはそれに準ずる企業を基準に。下請けは基本的に受けない。先代からのスタンスです」。
先代からのスタンス、半田さんはどのように受けとめているのか。
「まず、一緒に働いてくれる社員さんに対して。幸い、建物の改修は形に現れる仕事です。現場のみんなが“自分たちは経済のひとつであり、世の中の役に立っている”そう感じてもらえるとよいなと考えています」。「そして、お客様との関係。私たちを知っていただいて、便利に使ってもらえればと。会ってくださるには理由があり、耳を傾ける姿勢を忘れずに。当社のホームページでは、身近で親しみやすい総合建設会社と掲げ、セールスエンジニアの社員さんの写真も載せています。これがお客様にも意外と好評で」と嬉しそう。
「対話から生まれる仕事のひとつ一つがオーダーメイド。それぞれに価値が生まれます。よって、お客様からいただく喜びの言葉も場面によって異なります。たくさんいただいて、忘れて、再び気付きをいただいて。ひとりではなく、当社メンバーで仕事に臨むので、その全部がうまくいってお言葉をいただけるのだと思います」。
半田氏のキャリア、事業承継、そして同友会
「1995年、27歳までの3年間、金融業界に。いわゆるブラック企業で個人営業です。お客様、会社と真摯に向き合えばよりよい環境になるのではと、海外の状況を学んだりともがいていました。でも、組織を変えるのは困難だ、とふと気がつきます。そして出会ったのが当社でした。当時は売り上げが下がっている状況ながら、まぁいいか自分の力で売り上げを上げようという気持ちで」とほほ笑む。「社内では順調に役職は上がっていきました。そしてリーマンショック。二期連続赤字へ。役員の辞職もあり、先代は会社をたたむことを考え始めます。まさに昼夜問わず、先代と話し合うことで私の中で事業承継の決意が。2012年7月、代表を継ぎました。お客様、協力会社、そして当社みんなの顔が浮かんだのです」と手元を見つめる。
「でも、社長になってみたものの・・ 何をしてよいのか分からない。いろいろやってみるけど、それは方針なきもの。社内からの理解も得られない、能力のある社員さんが辞めてしまう・・・という状況に。そして、埼玉の協力会社の社長さんから同友会の存在を教えてもらいました。経営理念を考えるセミナーがあるよ、と。2013年、同友会へ入会。翌年、成文化セミナーを受講。整理がつき、方針が形になりました。仮に方針通りに動けなかったとしても、行き先はハッキリと。変な言い方ですが、“普通”の気持ちになったのです」と穏やかに語る。
百年企業へ—身近で親しみやすくあるために
「代表に就任後、去って行った社員さんもいれば、残ってくれた社員さんもいました。どれだけ心強かったことか。社員さんが言いたいことを言える環境が大切だと考えています。一人ひとりと面談をすると、みんなしっかりと考えをもってくれています。むしろ私が怒られるくらいで」と笑い、「自分じゃ何もできないんだなって。ひとりの人間として勉強になります。まだまだ変化の途中です」と前を向く。「中期的に次世代を見つけるべく動いていましたが、現況下は難しそうです。5億円の売り上げを、12億、20億と伸ばし、社員さんを5名~10名と増員。毎年、技術と営業を1名ずつが理想で仲間を増やして会社を安定させたい。現在、46期目。50年、そして100年と歩んでいきます。あと2世代ですね」とまっすぐに窓の外、西新宿ビル群を見つめた。