人(MAN)と 機械(MACHINE)をつなぐ かけはし(INTERFACE)になる
株式会社マン・マシンインターフェース 関口 哲也氏(八王子支部)
株式会社マン・マシンインターフェース[MMI](八王子支部)
代表取締役
関口 哲也氏
設 立:1985 年
資本金:1,000 万円
事業内容:ソフトウェア受託開発
社員数:43 名
本年度から多摩協議会議長になられた関口哲也さん(八王子支部)の本稿取材をZoomで行った。
経営する株式会社マン・マシンインターフェース(MMI)は、先代が1985年に設立し、㈱東芝日野工場での通信まわりの組込ソフト事業から始まる。
関口さんは、若い頃目標を探すため沢山のアルバイトをしていたが、1989年、結婚を機に生活を安定させるためハローワークの求人から入社した。プログラマーの募集だったが経験は全くない。それでも、会社は基礎から教えてくれた。教育カリキュラムもしっかりしていて、わかりやすかった。「今考えるととてもよい環境でした」と言う。
2013年4月に先代から社長交代の打診を受けた。思い起こせば、入社一年目の九州での社員旅行のビデオに「将来この会社の社長になる」と大ボラを吹いていた。「お酒の勢いと若さでしたね」と笑う。本社移転に合わせて10月代表取締役に就任する。しかし、就任前日まで技術者として現場に出ていて、経営者としての仕事は、何も引き継ぐことができなかった。
手探り状態の社長業である。その年の暮、㈱マイソフトの藤田功さん(八王子支部)を紹介され、「経営のことがわからないなら同友会に入ったら」と言われ、担当事務局の松林信介さんの日参に根負けして2014年に入会する。経営指針成文化セミナーの話を聞き「経営者の芯を作れるかも」と思い37期成文化セミナーを受講する。グループメンバーとサポーターに恵まれて学ぶところが多かったという。今も記憶に残る厳しい言葉もあり、それが経営者としての覚悟を作っているという。「とても厳しい言葉でしたが、今でもその言葉に立ち返ります」。実は翌年業績が下がったそうだ。「やるべき事を見ずに突き進んだ結果でした」と苦笑を交えて語る。その後は着実に業績を伸ばしていった。当初、同友会活動の費用は自腹で行っていた。「そのころはまだ経営者の感覚というよりも社員の感覚だったと思いますねぇ」と回想する。
2017年に、八王子支部長になった。同友会での仕事が増えていき、社内のことが心配だったが、社員一人ひとりが自走し始めた。なぜそのようになったのかと尋ねると「創業の気風があったのではないでしょうか」と。先代も真面目な技術者で、それを継いだ関口さんも『真摯に、謙虚に、誠実に』を教訓にしている。「それをお客さんが支持していただいているのだと思うし、社員にも伝わっているのでは」と。四半期に一度社内研修をして会社の状況を報告し、理念を共有している。「くどいと思われているかも」とニガ笑い。
関口さんの人生観の基本は性善説に立って、物事を考える。「だますよりはだまされる方がいいと思っています」と優しい笑顔で語る。
今年の10月には、同友会会員の紹介でグループ経営していた会社を吸収する。違った分野の技術獲得で会社の層を厚くしていく計画を進める。
今回のコロナで、7割がテレワークになった中で、関口さんは、休まず仕事をしている。「手を抜けないんです」と。趣味は?と聞くと、「時間ができたらブラックバスを釣りに行きたいですね。自然の中で投げたルアーのシルエットの美しさ。爽快な気分になれるのが醍醐味かな」。将来の夢はなんですかと問うと「自社開発のソフトでサービスを提供し、自分たちで値決めのできる会社にしたいですね」と語る。
会合でお会いするいつもの感情をおさえた淡々とした語り口で、時折ニコッと笑いながら、インタビューに答えてもらった。まわりに安心感を与えるのは、若い頃からの経験が生きているのであろう。湖沼で静かに釣り糸を垂れる関口さんを想像して、思わずかっこいい!と心の中で叫んでしまった。