きつい、汚い、危険、「3K」のイメージを払拭し、社員ファーストで「働き方改革」を目指す
丸八土建工業株式会社 五嶋 八重子 氏(北支部)
丸八土建工業株式会社(北支部)
相談役
五嶋 八重子 氏
東京都北区神谷2 丁目18 番13 号
設 立 :1975 年
資本金 :1,000 万円
社員数 :13 名
事業内容:一般土木工事、給排水衛生工事
京浜東北線、東十条駅から徒歩10分、懐かしい昭和の雰囲気を残す商店街から少し離れたところに丸八土建工業㈱はある。訪問すると、五嶋八重子相談役と共に犬2匹、猫2匹が大はしゃぎで迎えてくれた。
電気、衛生、水道、など建築設備に関する専門工事を手掛ける創業49年を迎える丸八土建工業㈱。「社員ファースト」をキーワードに働き方改革を目指している。
五嶋さんは、気性が荒く、ふるまいの乱暴な人達の多い土建業では珍しい女性社長。現在は相談役として、娘婿の片野健太社長の後ろ盾となっている。女性ならではのきめ細やかな経営で見事二代目社長の重責を務め上げ、業界から高く評価される会社に成長してきた軌跡を伺った。
平成2年、創業者であるご主人が癌で他界された。仕事の中身もわからないまま必死で会社を引き継いだ。「何しろ当時は荒くれものの従業員ばかりで、何度警察に貰い下げに行ったか。若さよね」と笑いながら懐かしそうに語る。度胸の据わった人だ。
バブルがはじけて仕事が減り、これを機会にと、会社の体質改善に取り組んだ。
経営のイロハは、同友会で学んだという。五嶋さんは二代目東京同友会女性部部長として、初代の森裕子さんと共に今の女性部の土台をつくった人である。「当時は仕事もとっても忙しかったのよ。でもあの時の学びが経営者としての私の宝物。文化堂の後藤せき子さんに教えていただいたことがとても生きています」と言う。
設備業というと、きつい・汚い・危険と、仕事に誇りを持てない時代もあった。その中で丸八土建工業㈱は、設備業の分野に幅広く対応する「働き方改革」実現に向けてチャレンジしている。
残業時間月平均五時間、講習による従業員の技術力向上や、新しい機械、道具の導入による現場作業時間の短縮、休憩時間と作業時間のメリハリをつけることによって、残業時間の短縮を可能にしてきた。休日数も週休二日に近づけるよう取り組んでいる。
また、年に一回、個人的な記念日を決めて休みを取ることができる。その際には会社からお祝い金の支給もある。こうした取り組みが評価され「北区仕事と生活の両立推進企業」に認定されている。
それらの会社の努力を社員が理解をして、〝きつい・汚い・危険〟という3Kのイメージを払拭して、会社の仕事に誇りを持った働く場所に、との思いで日々社員それぞれが心掛けてくれている。片野社長の見事な経営力である。「私の経営者としての最大の功績は、片野に経営をバトンタッチしたこと」と笑顔が輝く。社員に慕われ、率先して現場に入りその中で人間関係をつくり上げている片野社長の人格をしっかりと評価されておられると感じた。
丸八土建工業㈱としては人の採用については大きな決断をした時期があったという。採用に行き詰まり決断したのは外国人の採用だ。5年前の話である。当初は言葉の問題や生活習慣の問題を心配したが彼らはとても素直で器用な人が多く仕事を覚えることも早い。人によっては差があるが、難しい作業も覚えが早い。外国人実習生が入ってきたときは一週間の講習を行い基本的な作業を覚えてもらう。その際は先輩社員も一緒に参加してより難しい作業トレーニングをしながら技術を磨いてもらうことにしている。また多岐にわたる資格取得にも社外から講師を招き資格取得のために必要な費用は会社が負担するなど会社がそれらを強く後押しをしている。
五嶋さんが同友会の副代表を務められた当時の話や、多くの人間関係がそこで得られた貴重な話等々、時間を忘れての取材となった。