「産学連携とネットワークで地域おこし」
株式会社浜野製作所代表取締役 浜野 慶一氏(墨田区 資本金1000万円 社員34名)
同社は部品加工のメーカー、試作品一個から量産品、注文して納品まで3日という特急品でも引き受けることが強み。
しかし、作った製品がどのように使われているかはわかりません。電気自動車の開発は、墨田区と早稲田大学との産学官連携プロジェクトがきっかけで、プロジェクトに参加することで、図面では表現されない部分での気づき、開発から完成までの一貫した仕事の部分を従業員が理解しました。
設計段階からものづくりの原点である使う立場になることができたという貴重な体験です。同社は全社を上げて「技術家集団」を目指しています。
その一環として、2013年までには従業員全員が技能検定一級を取得する計画です。
電気自動車の取組みは従業員のモチベーションアップに役立ちました。同社の電気自動車は、一人乗りのものは渋谷や代々木、越谷の公道で走っており、スピードは時速30㌔位で速くはありません。
しかし、この速度には墨田区の戦略があります。2011年に世界一の新東京タワー(東京スカイツリー)が完成。予測では年間約500万人の観光客が見込まれますが、墨田区はその観光客が浅草にながれてしまうのではないかと考えます。
浅草には多くの観光スポットがありますが、同区にも、森鴎外・芥川龍之介など文豪の旧居跡や両国国技館、吉良邸跡など名所旧跡が点在しています。そこで歩行困難な方や高齢者のための移動手段として同区は電気自動車を考えているのです。
この取組みは「メイド イン 墨田」ということで、区内に新しい産業が生まれています。創造性のあるものづくり、技術力も高まり、新しい産業の創出につながると考えます。