東京同友会は2006年12 月13 日、東京信用保証協会と続く第6回目の懇談会を行いました。
主なテーマとなった下記の点についてご報告致します。
出席者リスト
保証協会
相澤 哲久 | 東京信用保証協会保証推進部長 |
原田 隆夫 | 東京信用保証協会保証推進部副部長 |
定保 郁夫 | 東京信用保証協会保証推進部保証推進課長 |
田村 進平 | 東京信用保証協会保証推進部保証推進課課長代理 |
池上 智 | 東京信用保証協会企画部企画課長 |
鈴木 和男 | 東京信用保証協会企画部企画課課長代理 |
同友会
水戸部 良三 | 政策部長 |
佐々木正勝、竹添幸男、星野輝夫 細野知久、三宅一男、宮本孝 | 政策部員 |
荻原邦弘 | 事務局 |
信用補完機能について
1
信用保証の手引き及びHPによりますと、保証制度が今年4月に大幅に改善されているよ うですが、特徴的なところ及び11月までの影響はいかがか?
特徴は所在地・業暦・保証人など保証利用条件の緩和と保証料率の弾力化をおこなった。 東京は従来より操業や営業所の所在地の実体など弾力的に対応し、第三者保証を少なく してきたので大きな影響はないように思われます。11月時点で昨年比件数103%,金額 で115%と保証実績は増えています。同友会からは経営者はこうした制度の変更に対して 意見を言える立場にないので単純に『影響はない』と見ないほうがいいとの発言もあり ました。
2
保証料率や貸出においてCRD(注1)を採用されておりますが、運用状況とその実態はい かがですか?
保証料率はCRD を基に決定していますが、審査のほうは本来企業が持っている体質や将 来的にも不変である非財務的要素をいれておこなっています。
注1: 中小企業信用リスク情報データベース(略称:CRD)とは CRDとは、平成13 年33月に中小企業庁が中心となり、中小企業金融の円滑化を支援す ることを目的に創設された中小企業に関する日本最大のデータベースです。「有限責任中間 法人CRD協会」により運営され、平成17年10月現在、210の金融機関が会員となっており、約220 万の中小企業データが蓄積され、このデータに基づき信用リスク分析が行わ れます。 CRDでは、財務要因を中心とした情報により中小企業の経営状況を評価しますが、評価 に関する一連の仕組み及び個別企業の結果は、データベースの機密情報に該当するため開 示されておりません。
3
代表権が外れた場合に新たな代表者に保証債務を移行できるよう見直しを進められたい。 相続時に「重畳的債務引き受け」ではなく「免責的債務引き受け」か、新代表者による借 換えなどができるよう改善を要望します。
2006年2月より一定の条件が整えば新代表者に連帯保証人の変更を認めています。また、相続時に相続人全員の承認があれば免責的債務引受を新代表者におこなうことができます。
4
事業承継を円滑に進めるため、株を取得した親族からの買入のする場合など、一定の制限 を設けて株を担保に融資をおこなう制度は検討できないか。高齢化に伴い事業承継の際に 需要が見込まれるが対応は?
流動性のない株を担保とすることは困難です。事業承継については、既に東京都の制度 融資(資料参照)の創業など支援の中に組み込まれており、この制度をご利用いただく のがまず適切ではないかと思われます。同友会からは、経営者も知らないことが多く今 後の事業承継問題の重要性にかんがみ「事業承継アシストプラザ」の創設することを要 望しました。
5
IT 産業や、情報産業および映像産業などのソフトなものづくりの受託開発には相当の期間を要するもその間のつなぎ対応として、受託契約書による、「売掛債権担保方式」のような制度はできないか?
未発生債権でも「売掛債権担保融資保証制度」の活用を検討することは可能です。この 制度の要件を満たすと共に債権譲渡禁止特約がある場合は、解除が必要となることに注意してください。
6
リレーションシップバンキングにおける、地域金融機関との連携体制はいかがでしょう か?
金融機関と「提携保証」(金融機関の利用実績などを勘案し金融機関から推薦のあった保証を迅速に承諾する制度)を37の金融機関(うち32は地銀、信金、信組)でおこなっ ています。また地域金融機関を訪問し制度の説明や懇談を持つようにしています。
7
保証割合削減について、部分保証方式か負担金方式か最終決着進捗はいかがか?
金融機関との責任共有制度の導入については、部分保証方式か負担金方式化は各金融機 関の選択になります。負担金方式を検討している金融機関が多いようです。(部分保証方式は融資金額の2 割を金融機関が責任を持つ、負担金方式は一定期間の保証債務平均残 高に過去の代位弁済率(不動産担保回収に関する額を加味したもの)を乗じた額の2 割を負担金として支払う制度)
8
市中金融機関の貸出制度がスコアリングによるものが浸透しすぎ決算直前後では融資が 受けづらい状況になりつつある中でのつなぎ制度などの創出はいかがでしょうか?
つなぎ資金については東京都の制度融資や当協会独自の制度でも対応は可能です。決算だけでなく試算表等により期中の業況を考慮して検討するので、決算直前直後だからということで特別な扱いはしていません。
9
CRDだけではなく、同友会などがおこなう経営指針講座に参加し、経営計画を作成したところに対し一定の評価を行い、融資を行う制度は検討できないか
特定の団体に対して制度を作ることは困難です。制度は金融機関や企業にとってインセ ンティブがないとご利用いただけません。保証料補助や利子補給がある区市町村制度や 東京都の制度融資などご利用いただいた方が、企業にとってメリットがあると思います。
金融環境について
1
企業間の格差も開きつつあるものと思われるが、どのようにお考えか?
2
また、どのような対応をお考えでしょうか?
企業間格差が拡大していることは認識しています。高い廃業率が続き中小企業が減少傾 向にあることを懸念しています。協会としては相談時に赤字や債務超過であっても、今 後の事業見通しや代表者の経営手腕なども考慮しています。業況が苦しい先に対しては、 セーフティネットや保証条件の変更などについて協力しています。また、再生支援や創 業制度について専門部署を開設し、力を注いでいます。
3
新銀行東京の状況(わかる範囲で)とそれについてはどのような所見か?
4
また、上記との友好的な融和などはいかがでしょうか?
状況についてコメントする立場ではありません。新銀行東京も「保証業務」をおこなっ ており、業務が重なるところがありますが、一昨年に約定書を締結し、東京都制度融資 の取り扱いが可能となりました。事前相談等を活用しつつ、中小企業の皆様の資金調達 のお役に立てるようにしていきたいと考えております。
その他
1
東京信用保証協会の理事会の構成メンバーに中小企業経営者の団体の代表(借り手の側の代表) を入れていただきたい。
前回の懇談会でも回答しましたが、中小企業経営者の団体とは懇談会などを通じて意見 や要望を取り入れるようにしていく考えで、理事に入れることは考えていません。
資料 東京都の事業承継制度融資
ご利用いただける方
ご利用いただける方の条件のほか、次の(1)又は(2)のいずれかの条件に該当するもの
- 事業承継を行うもので、次のいずれかに該当するもの
i. 承継時に、被承継者及び承継者ともに保証協会の保証対象となる業種において1 年以上事業を営んでいること。
ii. 承継時に、被承継者は保証協会の保証対象となる業種において1 年以上事業を営んでおり、かつ承継者は当該被承継者のもとで1 年以上従事していること。 - 事業多角化、事業転換又は分社化を行うもの
※事業多角化の場合、事業多角化前に1年以上業歴があることが必要です。
※事業転換の場合、事業転換前に1年以上業歴があることが必要です。また、事業転換の完了後、1 年未満でも対象となります。
融資条件
- 資金使途 運転資金、設備資金
- 融資限度額 1 億円(組合2 億円) ただし、分社化の場合は1,500 万円
- 融資期間 運転資金7年以内(据置期間1 年以内(多角化、事業転換の場合は2年以内)を含む。)
設備資金10年以内(据置期間1年以内(多角化、事業転換の場合は2年以内)を含む。) - 融資利率 (年率)
固定金利又は変動金利から選ぶことができます。
【固定金利】(平成18年10月から平成19年3月まで)
融資期間
3年以内:2.1%以内
3年超5年以内:2.3%以内
5年超7年以内:2.5%以内
7年超:2.7%以内
【変動金利】
短プラ+「0.7%以内」
※短プラとは、銀行が信用度の高い企業に貸し出す際に適用する短期(1 年以内)の最優遇金利です。各金融機関ごとに設定します。 事業多角化、事業転換又は分社化を行うもの - 返済方法 分割返済(元金据置期間は1年以内。なお、多角化、事業転換は2年以内。)
- 信用保証 保証協会の信用保証が必要です。
- 信用保証料 保証協会の定めるところによります。
- 保証人 連帯保証人は以下のとおりです。
法人…代表者個人、個人事業者…原則として不要、組合…原則として代表理事
※組合については、組合の実情に応じて、他の理事を連帯保証人に加えることができます。 - 物的担保 この融資の保証を含めて保証合計残高が8,000万円を超える場合は、原則として物的担保が必要です。