職場の雰囲気を悪化させ、生産性を低下させる 『不機嫌ハラスメント(フキハラ)』にどう対応する?(2024年7月)
「不機嫌ハラスメント」があると聞きました。内容と影響、具体的対策を教えてください。
「不機嫌ハラスメント(以下、「フキハラ」という。)」とは、不機嫌な態度をとることで、周囲に不快な思いをさせたり、過剰に気をつかわせたり、精神的な苦痛を与えたりすることを指しています。
人間ですから、なんらかの理由で不機嫌になることは誰にでもあります。
不機嫌になることがいけないのではなく、それを態度に表すことで周囲に悪影響を与えることがハラスメントになります。
【職場で起こりやすいフキハラ具体例】
・やり取り中にため息をついたり、舌打ちをする。
・眉間に皺を寄せて不機嫌そうな表情で黙り込む。
・書類など物を叩きつけるように置く。
・仕事を頼むと嫌な顔をする。
・挨拶を返さない。
・聞こえないふりをして反応しない。
このようなフキハラをする人が職場にいると、その人に話しかけづらいので、必要な確認をせずに(できずに)業務を進めてミスが発生したり、「自分が何か怒らせるようなことをしたかな?」と気になって業務に集中できないなどの影響が周囲に発生します。
その中でも、いちばんの悪影響といってもいいのが、「不機嫌が周囲に伝染し、新たなフキハラを生む可能性がある」ということです。
人間の感情は伝染するといわれています。「もらい泣き」や「つられ笑い」などは誰もが経験あるでしょう。
また、感情の伝染力はプラス(ポジティブ)よりもマイナス(ネガティブ)の方が強いとの研究結果もあります。
単なる「不機嫌」だと軽視し放置しておくと、一人の不機嫌な態度が職場の雰囲気を悪化させ、労働生産性を低下させていくのです。
【「フキハラ」の具体的対策】
・フキハラが職場のハラスメントとして防止すべきであることを研修等で周知し、従業員に注意喚起する。
→フキハラは従業員個々が自分の態度に意識を向けることで減らしていくことが可能。
・実際にフキハラをしている従業員に対して、周囲からどう見えているかを伝え、態度の改善を促すとともに、不機嫌になっている理由を傾聴する機会をもつ。
・睡眠不足や疲労蓄積など身体的要因から起こるフキハラもあるので、特に残業や休日出勤が増えているときは休ませる配慮をする。
「フキハラ」の内容を正しく理解し防止することで、皆が気持ちよく働ける職場環境を作っていきましょう。
大谷雄二(大田支部)
ソラーレ社会保険労務士法人
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