営業秘密についてどのように保護すべき?(2023年5月)
最近、「NDA を結んでおいた方がいい」という話をよく聞くようになりました。
「NDA」って何ですか?
「NDA」とは、「秘密保持契約(NondisclosureAgreement)」のことで、営業秘密を第三者に開示しないよう、取り扱いについて決める契約です。
「営業秘密」にはどんなものがあるのですか?
「顧客情報」「仕入先情報」「見積内容」「契約内容」「ノウハウ」「実験データ」「他者から開示されたもの」など、どんな会社でも何らかの営業秘密を持っています。
どのような時に営業秘密が開示されてしまうのですか?
最近、かっぱ寿司の社長が、元の職場だったはま寿司の商品原価や食材の使用量などに関する内部情報を不正に取得し逮捕された事件があったことはご存知かもしれません。この事件のように「中途退職者による情報流出」が一番多くなっています。
では、従業員に対し、入社時と退社時に「秘密保持誓約書」を書いてもらえば大丈夫ですか?
「秘密保持誓約書」は有用ですが、それだけでは不十分です。まずは、自社の色々な情報について、「秘密にすべき情報」と「そうでない情報」に分けます。その上で、「秘密にすべき情報」について適切に管理することが必要になります。
「営業秘密」は、どのように管理するのですか?
紙媒体であれば「㊙」など、文書に秘密であることを明示し、鍵付きのキャビネットに保管し、ある特定の社員のみ閲覧できるような制限をします。電子媒体の場合も基本は同様で、フォルダ名に「マル秘」であることを記載し、パスワードなどにより特定の社員のみアクセスできるような制限が必要になります。このように管理することにより、会社の持つ秘密情報が不正に持ち出されるなどの被害にあった場合に、民事上・刑事上の措置をとることができます。
社内体制構築のためにどのようなことをやればいいでしょうか?
かっぱ寿司の社長は、転職時に「すごいと思われたい。マウントを取りたい」という理由で不正に営業秘密を持ち出した、と述べています。もしこのような意識があれば、社内全体として変えていくことも必要になります。
「営業秘密」を保護するメリットは何ですか?
会社の「営業秘密」は「会社の強み」と直結しています。何が大切な情報かを見直すことで自社の強みを認識できます。また、他社との取引において信頼を得ることができると共に、他社にも同等の管理を求めることができるようになります。
斎藤 理絵(豊島支部)
斎藤知財事務所
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