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経営者Q&A

「定期昇給廃止」をどう考えるか(2003年2月)

Q

平成14年の税制改正の中で連結納税制度が創設されたと聞きましたが、概要を教えてください。

A

御社の基本給は、年齢給と職能給から構成されていて、年齢給は自動的に上がり、また職能給は、A評価は3号俸、B評価は2号俸昇給するなど、査定によって多少の格差は付きますが、毎年昇給します。これらを定期昇給といって、全員一律に自動昇給することになっています。

Q

「定期昇給の廃止」とはどのようなことですか。

A

「全員一律に自動的に昇給することを廃止する」とのとらえ方が多いようです。ですから、「評価によって給料が上がったり、下がったり変動する」、「上位の等級に昇格した社員だけ昇格昇給する」といったことで定昇の廃止ととらえ、給与規程の「定期昇給」の文言を「評価により給与改定」と改める会社もあります。

Q

「定昇の廃止」をどのように考えたらよいでしようか。

A

定昇とベースアッブは経済成長の下で社員の生活を一律に向上させる仕組みであり、社員は毎年の自動昇給が期待でき、安定した生活が可能でした。しかし一方、「経済の成熟」「右肩下がり」の時代、現在の人件費水準では競争に勝てないとの危機意識があり、いままでの給与体系は抜本的見直しが必要とされてきました。しかし昨今、単に人件費をカットすることが目的ではなく、チームや個人のプロセスと成果を問い、社員のやる気と成長を期待するメリハリの効いた給与体系に転換している事例が多くなっています。全員一律の自動昇給を廃止した目的事例では、「努力したら報われる、高齢の社員は年齢に応じて生きいきと働ける、そんな給与制度を望む」「経営計画に沿って社員がやる気になり、計画の達成と社員の成長を期待する」「給与の削減が目的ではなく経営の仕組みを変えることが目的」「業績に連動した評価基準を導入し、戦略決定のスピードをあげる」などがあります。強調したい点は、「経営指針(理念・方針・計画)を実施する仕組みつくり」であること、これによって「人を育てる」ことにあります。

Q

その給与体系は具体的にどのようになっているのですか。

A

(1)給与体系はシンプルに、家族・住宅手当などは廃止 (2)基本給は年齢・勤続給といった一律・自動昇給部分を廃止 (3)新基本給は等級とABCの貢献度評価などに応じて昇格・降格する仕組みになっています。つまり、ある等級の上限に達した場合、上級の等級に昇格しなければそれ以上昇給はしません。また、洗い替え方式により毎年リセットされる仕組みですから、評価によっては昇給もマイナス昇給もありえます。賞与は「利益の配分」として、チームなどの業績に応じて社員に分配されます。貢献度評価は「経営計画書の実施度」などのプロセスと結果を評価します。また、管理部門や企画開発部門などの成果については方針や目標が明文化され、社員のコンセンサスを得たうえで評価されています。

藤浦隆則(江戸川支部)
レイバーセクション所長
社会保険労務士
TEL 03-3869-8459

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