減収が続くなか打つべき手は(2003年7月)
精密金属部品製造業をやっていますが、数年前から売上げが減少して歯止めがかかりません。毎年「経営指針書」の見直しを行って、部門別目標の設定を行い実行計画も立てていますが思い切った手も打てずに収益の改善効果が得られません。人材や資金力の乏しいなかでどうしたらよいでしょうか。
経営指針書は毎年見直しを行い部門別の目標設定を行っていることは経営のシステムはある程度確立されているといえるでしょう。しかし、収益の改善に結びつかないのは”思い切った手”が打てず現状の改善にとどまっていて、将来に向けた「経営戦略」にまで踏み込めないのでしょう。デフレ不況が続くなかで現状の改善も必要なことですが、改めて顧客の視点にたって現在の商品やサービスのあり方を検討してはどうでしょうか。
新しい商品や新市場・顧客開拓といった対策の必要性も理解できますが、人材や資金に余裕もなく、現状では閉塞状態です。
経営戦略を進めることは、閉塞状態をどのようにしてうち破るかを考えることです。 貴社の場合、”打つべき手”のきっかけを作る意味で「中小企業革新支援法」に基づいた「経営革新計画」の作成に取り組むことをお勧めします。この計画は次の項目のうちいずれかの課題を選び、経営革新を進めるものです。
(1)新商品の開発または生産 (2)新しい役務の開発または提供 (3)(既存の)商品・サ-ビスの新たな生産または販売方式の導入 (4)(既存の)役務の新たな提供方式の導入、その他の新たな事業活動が対象になっています。目標の設定については、経営革新計画の期間は3年から5年に規定され、次の指標が規定されています。
(1)付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費
(2)一人当たりの付加価値額=付加価値額÷従業員数
いずれかの指標について目標値を設定し、5年間の計画の場合、計画期間5年後までの目標に対する伸び率が15%以上であることとなっています。
どのような手順で進めるのでしょうか、またこの計画を進めた場合どんなことが期待できるのでしょうか。
「経営革新計画」を作成して各都道府県担当部局または国の地方機関へ申請書を提出し、都道府県知事、国の地方機関の長の承認を受けます。この計画が承認されますと、この計画に従って行う事業に対し国の支援が受けられます。平成15年度の支援措置は
(1)新商品または新役務の開発、販路開拓、人材育成等に対する補助金(予算額1394百万円)
(2)政府系金融機関による設備資金・長期運転資金の低利融資制度
(3)設備投資減税等の税制上の特例措置
(4)新規・成長分野雇用創出特別奨励金
(5)雇用対策臨時特例法により、45歳以上の労働者を新たに1人以上受け入れる場合に、中小企業労働力確保法の認定を受けることにより45歳未満も含め新規雇い入れ労働者の賃金等を助成
が平成15年度の支援措置となっています。参考までに、この経営革新計画の承認件数は累計で9,582件、昨年度だけで3,341件の実績となっています。
葛西武志(品川支部)
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