真の顧客最優先経営とは?(2003年11月)
流行りの「顧客最優先」経営を採り入れても儲からないのはナゼでしょう?
あなたは自分が大切ですよね?同じように顧客も自分が大切です。自分を中心に、家族、組織、地域といった優先順位の環状で範囲を広げていきます。そこで、先ず「人は自分が最も大事」という普遍的な人間心理を理解しておきましょう。顧客は自分の為に「ああして欲しい、こうして欲しい」と要請しますが、心やさしい経営者に限って「何とかしてあげよう」と頑張りがちです。ここに落し穴があった。あなたが顧客の為を慮って業務の範疇を超えたビジネスを提供しても、あなたの優しさが伝わらない限り、殆どの顧客は有り難いとも何とも思わないのです。
では「顧客最優先」経営は間違いなのですか?
補則説明が足りないだけで間違いではありません。「もっとやってくれるのでは?まだ足りないのでは?」と邪推されないように、取引額の範囲で可能な限り優先している事実を伝えましょう。今以上のビジネスを要求される場合は取引金額を増やしてもらいましょう。
紙数の制限で詳しく説明できないのが残念ですが(詳しくは拙著「あなたが会社の利益を殺す犯人だ?!」エクスナレッジ/刊を御覧下さい)顧客は十把一絡げではなく4つの階層を成しています。顧客との付き合い方や重要度によって対応が異なるのです。額も量も回数も少ない割に要求ばかり多い顧客と、最優良顧客を等しく扱うのは大間違いですから、客層に合せたビジネスを提供しましょう。
「顧客最優先」経営を実現するには具体的にどうすれば良いのですか?
2つあります。折角の顧客最優先経営も、顧客へ伝わらなければ自己満足に過ぎませんから、口頭でも手紙でも額縁でも何でも良いので「お客様を大切にしています」と伝えましょう。無言実行ではなく、有言実行です。正しい接触の連続が利益に繋がります。
次に「付加価値」を加えましょう。人は期待値に基づいて商品を購入します。その結果、商品が悪ければマイナス、つまり損になりますから二度と買いません。期待値に到達するとプラスマイナスゼロ。これが通常の商取引です。普通はココで終わりがちですが、期待値を上回ったときに顧客は満足します。これが顧客満足誕生の瞬間です。同業他社にない付加価値を加えて、顧客の期待値を上回る付加価値商品を創り、売りましょう。
何も難しいことはありません。例えば航空各社では商品(空路移動)の付加価値として、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスに分けていますね?目的地まで飛ぶ以外に顧客は快適性も求めていて、その快適性を金銭で購うのです。商品以外の付加価値としてはマイレージサービスが好例です。マイレージポイントの多寡で航空会社を選択する顧客がいるほどです。付加価値は商品を上回る購買動機になり、顧客満足まで高めるのです。
小笠原昭治(江戸川支部)
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