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経営者Q&A

自社ビルを売却したものの(2004年1月)

Q

先行き不透明ななか今後をにらみ、自社ビルの売却を決断しました。ところがメインバンクから、抵当権抹消に際し、残債の一括返済を要求されました。

A

担保提供を別の物件にスライドさえすれば、という思惑がはずれたわけですね。

Q

全額返済する余裕などありませんから、売却代金の内入れを条件になんとか抹消にこぎつけました。すると今度は2番以降の抵当権者がゴネ出し困っています。加えて、随分昔からの土地なので、決算上税負担の問題も出てきました。

A

今後の事業展開資金にと先祖代々の土地を処分しても、借金の返済と税金に消えたのでは、元も子もありませんね。ある程度キャッシュが残るのであれば、買い換えにより、課税を繰り延べる方法(措法65の7 I)もあります。しかし、千載一遇のチャンスともいえますから、いっそのこと体質改善を図ったらどうですか。銀行の査定も良くなりますし。

Q

土地の売却益に見合うロスを捻出しろということですか。

A

そうです。動きの無い資産はありますか。

Q

バブル期に購入した銀行株とゴルフ会員権、それに塩漬けの貸付金があります。

A

税務上資産の評価減は、限定されています(令68)。でも当該銀行株なら50%超下がっているし、回復見込みの判断(基9-1-7)も法人の合理的判断を税務上は尊重する立場を採っていますから、強気で落としてもまず問題ないでしょう。ゴルフ会員権は、評価減できませんから、売却して損を確定しましょう。

Q

まだ利用するので、手放したくないのですが。

A

では、社長が買い取ればよいでしょう。取引相場の8掛くらいで、売買契約書もきちんと交わしてください。

Q

貸付金は第三者に対するものと子会社に対するものですが、落とせますか。

A

無税償却(貸倒損失処理)については、法的貸倒(基9-6-1)は金銭債権の消滅事実がある程度客観的に存在するため、問題になりません。経済的貸倒(基9-6-2)については、「回収不能の判断」というやっかいな問題があるため、税務当局との見解の相違が生じるところです。保守的にやるなら、1円の備忘価額を残し、99.99%個別評価引当で対応(令96Ⅰ)したとしても、実質的な経済的効果に差はありません。

Q

債権放棄しては、どうですか。

A

内容証明郵便で書面を出せばO.K.です。ただ子会社のケースでは、寄付金認定のリスクも高く、慎重な検討を要します。他方、子会社側で債務免除益が計上されることも念頭に置き、繰越欠損金の活用もポイントになります。

加藤一志(杉並支部)
加藤公認会計士・税理士事務所
http://kazushi-cpa.zei-mu.com/
info@kazushi-cpa.zei-mu.com
TEL.090-2226-3309

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