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経営者Q&A

「解雇は不当」から歩み寄って合意(2004年10月)

Q

社員Sは、営業担当で採用して2年目になるのですが、成績も悪いし、顧客訪問など進んでやろうとする覇気がなく営業にむかない。また、営業手当を付けているのに残業代を請求してきたので、「事務職に異動するか、いやなら退職してもよい」と7月20日に告げました。
社員Sは翌日、(1)営業手当が残業代だったとは納得できない、(2)事務職に配転する成績評価と営業手当月額3万円を減額されるのは納得できないし、解雇は不当であるとして、過去1年分の残業代、解雇予告手当賃金1ヵ月分、補償金賃金3ヵ月分を請求してきたのです。

A

営業手当が残業代の定額払いであることが就業規則、採用通知(雇用契約書)に明文化されていないことは問題ですが、採用時にチームリーダーがその旨説明しているので、社員Sは営業手当に残業代が含まれているとは認識していたようです。
ただ、営業手当が残業代の定額払いであっても、その額が実際に計算した残業代より少ないときは差額を支給しなければなりませんので注意が必要です。
また社員Sは、事務職への異動と営業手当の減給について、賃金規程に降格・減給もあることや諸手当の減額についての規定が明記されていないこと、また、評価制度の明文化や例えば「評価基準書」などの指標もなく、評価の結果に対する個人面談など本人への説明もなかったので、事務職への異動と営業手当の減給について納得できなかったようです。
「解雇は不当」については、『事務職がいやなら退職してもよい』と告げられたので解雇されたものと思い、予告手当を請求してきたのでしょう。
また、会社は7月下旬に支給されるはずの賞与を払いたくないので解雇したのだと不信感を持ったようです。

Q

営業職へ復職させようとは考えていませんし、賞与もまともに払える勤務成績ではありません。
退職するなら1ヵ月分ぐらい払ってもよいと思っています。

A

社員Sは、会社と争ってまで復職したいとの希望はないようです。
また、離職理由が会社からの働きかけによる退職勧奨なら自己都合よりも失業保険が有利に受給できると考えたようです。
残業代の差額、解雇予告手当賃金1ヵ月分、賞与支給基準の基本給1ヵ月分、その相当額の支払いを目安にして、和解するように歩み寄ったらいかがでしょう。

Q

本人とよく話し合い、離職理由は「退職勧奨」とすること、そして賃金2ヵ月分相当額を支払って円満退職することで合意しました。
また、その旨を記載した合意書を取り交わしました。
これを教訓にして、就業規則、賃金規程・評価制度などのルールを明文化し、社員が納得して働ける職場にしていきたいと思います。

藤浦隆則(江戸川支部)
社会保険労務士 レイバーセクション
TEL.03-3869-8459

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