ここが要点・金融機関との付き合い方(2005年6月)
「リレバン」や「金融改革プログラム」などといわれますが、われわれ中小企業にはどのように影響するのでしょうか。
「リレバン」も「金融改革プログラム」も金融庁の金融機関に対する指導・ガイドの方針です。信金や銀行など金融機関は、それに合致する経営方針を採用しますから、当然、取引をしている企業にも大きな影響を持ちます。われわれ中小企業としては、その方針にうまく対応しないと必要な融資が受けられないなどのリスクが生じます。
リレバンは、平成15年3月から今年3月までの施策でしたが、今年からは新しく「金融改革プログラム」と名称が変わりました。具体的内容はこれから定められますが、その骨子は今までのリレバンの内容を踏襲したものになるでしょう。
リレバンとはどのようなものですか。
リレバンとは「リレーションシップバンキング」の略で、「間柄重視の地域密着型金融」と言われます。つまり、金融機関として長期にわたる企業との付き合いの中で、企業の将来性などについての的確な情報を得て、それをもとに長期にわたり金融の支援をするということを言っています。
当たり前のことと思われるかも知れませんが、本質は融資に当たり不動産担保の重視から経営者の資質や経営内容の重視へと大きくシフトしたということです。具体的には「信用リスク審査モデル」を活用して企業をシビアに格付けすることが進展しています。これは、競争原理が適用されるようになった銀行にとって自らの生き残りをかけた戦いともいえます。それだけに企業の経営内容開示に強い関心を持ち、その開示レベルによっては企業の格付けにも影響します。
経営内容開示の具体的な内容はどのようなものでしょうか。
取引銀行に決算書を示すことは今までもやっていたでしょうが、これから重視されるのは、ずばり「経営計画書」です。それも単に数字の羅列ではなく、経営環境や自社の強み弱みを的確に捉えて、勝てる戦略が明確になっていることを重視します。また、決算書もただ提示するだけでなく、たとえば「今期の決算の概要とポイント」といった形で、金融機関が知りたいと思うような部分を的確に分析し説明されていることが望ましいのです。たとえば、今期、利益率が下がったとしたら、その原因分析と今後の対策や方向性がきちんと説明されているというようなことです。
このような点を、督促されなくとも「説明責任」の見地から積極的に情報を開示する企業は高く評価されます。
当社は資金繰り表の提示を求められていますが対応しなければいけないのでしょうか。
銀行が最重視するのは、貸付金が狂いなく回収できるかどうかということです。その角度から、企業の資金繰り状況には強い関心を持っています。
もし、対応しなければ今後の融資は厳しいものになるでしょう。この際、信用度をアップさせる気持ちで積極的に対応することが大事です。それも資金繰り予定表だけでなく、予定表と差異の少ない実績表まで提示したら、信用度は間違いなくアップするでしょう。
根本 寛(目黒支部)
近代経営研究所・代表
中小企業診断士・経営コンサルタント
TEL.045-972-1480 FAX.045-972-1480
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