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経営者Q&A

債務超過での廃業は?(2006年5月)

Q

廃業したいのですが現金・売掛金より未払金・買掛金・借入金のほうが多い現状です。どのようにしたらよいでしょうか。

A

貸借対照表で資産勘定より負債勘定が多い財務内容を債務超過といいます。それに廃業となると商品価値が仕入金額のせいぜい10~20%にしかなりません。また、土地や建物、ゴルフ会員権、投資有価証券等が時価評価となり、会社の財産を処分しても銀行からの借入金が処理できない企業がほとんどです。次の3つについて自己検討してください。

① 最初に現在の業種業態を継続して営業利益の伸長が見込めるのか、次に経常利益がマイナスにならないか。
つまり、資本投入をして継続できるのか廃業しなければならないかにより処理方法が変わります。

② 継続可能であれば後継者に引き継ぐ、あるいは同業者等に譲渡することが考えられます。
商圏は見えざる資産で、債権者が差し押さえも強制執行もできません。特許や特別な自社商品を持たない中小企業にとって、得意先、仕入先が最も重要な財産です。通常、売上高が1億円になるまでに3年、2億円が5年、4億円には10年以上の期間が必要です。

③ 債務は未払金、買掛金、銀行借入金、個人借入金等、発生した状況によって債務内容が異なり、個別対応することが大切です。債権処理を弁護士さんや債権処理業者に相談すると包括的に処理することがほとんどで、結果的 に破産などの法律行為になります。仕入先、購買先等の未払金、買掛金は長い期間取引している場合が多く、取引額が上位5番以内で経営意欲のある得意先、仕入先に相談してみるのもよいでしょう。
銀行の債務は利益目的で貸出しており、いわゆる貸し手責任のある債務ですから、戦略を立てて処理することです。最終的に無担保債務は返済できないでしょう。有担保債務については担保物件の時価評価をして、処分するのか返済金額を圧縮して期間を延長するのかのどちらかでしょう。

以上を自己検討し廃業あるいは企業売却、営業権の譲渡などの結論が出ましたら、自分の主張を理解してくれる第三者に依頼することをおすすめします。
また廃業は創業より多くの労力と時間が必要であり、廃業の方針を決めてから2年間ほどかかりますから、家族の理解を得ることが最も大切なことです。

岩渕聖樹(台東支部)
かいしゃ経営よろずや本舗
TEL.03-5289-8691
holytree@almond.ocn.ne.jp

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