傷病手当金とは(2007年2月)
社員がケガで入院したのですが、傷病手当金とは?
傷病手当金とは、会社で加入している健康保険の保険給付のひとつで、社員が病気やケガのために会社を休み、給料が受けられなかったときに生活を保障してくれる制度です。
傷病手当金は、病気やケガのため働くことができず、療養のため連続して3日以上欠勤(労務不能)しているときに、4日目から支給されます。
なお、通勤途中や仕事中のケガ・病気については、労災保険の給付を申請することになりますから、傷病手当金は支給されません。
いくら支給されるの?
欠勤1日につき、「標準報酬日額」の6割相当額が支給されます。「標準報酬日額」は、社員の給料に応じて決められています。
会社から給料を受けた場合で、給料の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給され、給料の日額が傷病手当金の日額より多いときは、傷病手当金の支給はありません。
つまり、支払われた給料の分だけ傷病手当金がカットされます。
なお、傷病手当金は欠勤4日目から支給されるため、最初の3日間(待機期間)については年次有給休暇を充てて給料が出ても構いません。
また、次のような場合は傷病手当金の支給額が調整されます。
(1) 出産手当金を受けられる場合
(2) 同一の傷病により障害厚生年金、障害基礎年金、障害手当金を受けられる場合
(3) 退職後、老齢厚生年金、老齢基礎年金、退職共済年金などを受けられる場合
いつまで支給されるの?
同一の傷病で、支給を開始した日から数えて最長で1年6ヵ月です。つまり、通算ではなく、途中で傷病手当金の給付を受けていなくても暦で期間計算されます。
退職したらどうなる?
1年以上継続して被保険者だった社員で、退職時に傷病手当金を受けていたか受けられる条件を満たしていたときには支給されます。
なお、退職後も継続して傷病手当金を受けられる人が任意継続被保険者になると、標準報酬日額は上限があるため傷病手当金の支給額が下がることがあります。
また、雇用保険の基本手当(失業手当)などの支給を受けているときは傷病手当金を受給することはできません。
ちなみに、国民健康保険には傷病手当金の制度はありません。
申請手続きは?
「傷病手当金請求書」に事業主から休業の証明、医師から労務不能の証明をしてもらい、必要な添付書類(賃金台帳・出勤簿等)を添えて、社会保険事務所(または健康保険組合)に提出します。
藤浦 隆則(江戸川支部)
レイバーセクション所長
特定社労士
TEL.03‐3869‐8459