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経営者Q&A

労働審判について(2007年8月)

Q

中途採用した技術者が能力不足なので解雇したら、裁判所に労働審判を申立ててきました。自分で対応しますので心構えを教えてください。

A

労働審判は3回以内で結論を出すのが原則とされています。そこで第1回期日から和解案を提示されることが多いのです。この和解案に対して使用者側が誠実に対応できないと不利な心証を持たれてしまいます。 したがって、第1回期日前に提出する答弁書が重要です。この答弁書に当方の言い分をすべて具体的に書き、証拠となる資料も添付しておくことです。 採用条件の技術レベル、能力不足の具体的内容、客先からのクレームの具体例、改善指導の内容、本人の努力状況、勤務態度などをできるかぎり具体的に詳細に書いておくことです。 そしてこれを証拠づけるための上司や同僚たちの陳述書なども作成して添付しておくことです。会社としての客観的な評価基準や本人に関する人事考課書などがあれば、それも提出しておきます。 第1回期日において和解案が出されたら、多少の不満があっても前向きに受け止め、第2回期日までにそれをいかに有利に変更させるかを検討することです。第2回期日で和解成立となる率は高いようです。第3回期日は和解条件のこまかな詰めのために開かれると考えていたほうがいいでしょう。この詰めのために必要があれば例外的に第4回期日が開かれることもあります。

Q

和解案を拒否したらどうなるのでしょうか。

A

審判(判決のようなもの)が告知されます。これも不服ということであれば異議を申立てれば通常裁判所へ移送となります。 現在のところ和解成立で終わっているのが74%、審判告知16%、他は取り下げなどとなっています。審判に対して異議申立てをしているのが、そのうちの約半分ということです。このように和解成立率が高いのは、もともと労働審判の申立てを選んだということ自体に、金銭解決を考えていたということが考えられます。もし解雇自体を徹底的に争うつもりであれば、はじめから解雇無効確認の裁判や地位保全の仮処分などを申立ててくるはずだからです。したがって、労働審判の申立てを受けたほうも、第1回期日前から金銭解決について十分検討しておくことが大切で、答弁書にも和解ができなくなるような本人のメンツをつぶす書き方は避けておくのが賢明です。解決金の相場としては、給与の3ヶ月分位が多いといわれています。

Q

ちなみに、もしこれを弁護士に依頼するとすれば、いくらくらいかかるでしょうか。

A

事案にもよりますが、一般的には30万円から50万円くらいのようですね。

原口 紘一(三多摩支部)
原口法律事務所
弁護士
TEL.03-3361-9633

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