外国人の就労資格の内容を確認できる「就労資格証明書」の活用(2008年6月)
「就労資格証明書」とはどのようなものですか。またその活用方法を教えてください。
日本に在留する外国人は、その在留資格に応じて認められる活動のみをすることができることになっています。したがって、企業が外国人を雇用しようとする場合には、当該外国人が所持するパスポート、外国人登録証明書、資格外活動許可書等によってその者にどのような活動が許容されているかを確認した上で、当該外国人に従事させようとする業務が、その在留資格に適合しているか否かの判断をしなければなりません。然しながら具体的にどのような就労活動が認められているのか判然としない場合があります。そこで、入管法第19条の2第1項では、下記のとおり就労を希望する外国人が最寄の地方入国管理局に「就労資格証明書交付申請」を行い、就労活動の内容を具体的に示した「就労資格証明書」の交付を受け、それを雇用主に提示・提出することにより雇用主が円滑に当該外国人との雇用契約を締結できるように図っています。 「法務大臣は、本邦に在留する外国人から申請があったときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。」
転職の場合、就労資格証明書により就労活動の内容を確認することは常に必要ですか。
「入管法」第19条の2第2項では、「何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と定めていますので、この就労資格証明書の提示・提出は、外国人を雇用する際に必ずしも必要とされる手続きではなく、あくまでも労使双方の信頼関係から必要性が生まれてくる任意的なものだといえます。転職のケースでも、在留期限が迫っていて就労資格証明書交付申請を行っている余裕がない場合は、直に在留期間更新許可申請を行うことで問題はありません。
就労資格証明書には、どのような事項が記載されていますか。
就労資格証明書には、当該外国人の「氏名」、「国籍」、「生年月日」、「旅券番号」、「外国人登録証明書番号」、「在留資格」、「在留期間」のほか、「活動内容(行うことのできる就労活動の具体的内容)」「就労することのできる期限」について記載しています。 また、外国人が転職等により勤務先を変えた場合に交付される就労資格証明書には、新たな勤務先における就労活動の内容が、当該外国人に認められている就労活動に対応しているか否かを確認した後に交付されるため、新たな勤務先の名称も記載されます。
今木 三(新宿支部)
双葉法務・行政事務所
所長・行政書士
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