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経営者Q&A

リースか買取りか(2008年9月)

Q

リースの利点と欠点とは。

A

1・利点:(1)取得時に多額な資金がいらない(リースは分割払いである)。(2)リース物件の支払は、通常その固定資産の法定耐用年数に比べて60%から70%であるから費用化が早い。(3)所有でないので、固定資産税の対象にならない。
2・欠点:(1)一般的に購入価格より割高である(金利とか手数料が含まれるため)。(2)解約するときには、通常そのリース料の残額を支払うことになる。(3)税法の恩典である特別償却・少額資産の特例が受けられない。(4)毎月定額の資金が必要である。

Q

リース取引に関して税制改正があったと聞きましたが。

A

平成20年4月1日以降にリース契約を締結した物件は、リース料の総額を固定資産に計上することになりました。
例えば、印刷用機械(耐用年数10年)を7年のリース期間で毎月6万円のリース契約を締結したとすれば、
(1)リース契約時の仕訳(自社所有分と区別するために、リース資産という勘定科目が便利です)
借方:リース資産(資産) 5,040,000円
貸方:未払金(負債) 5,040,000円
(2)毎月リース料が引き落としされた時の仕訳
借方:未払金(負債) 60,000円
貸方:現預金 60,000円
(3)決算時の仕訳 (1年分として) このリース資産の償却年数はリース期間の7年です。
借方:減価償却費(費用)720,000円
貸方:リース資産(資産)720,000円
(結果的に毎月のリース料を従前通り経費に計上したのと同じことになります)

Q

減価償却費の償却率の改正があったと聞きましたが。

A

平成18年度税制改正において、固定資産の償却費の残存価格が変わりました。平成19年4月1日以降購入した資産から適用されます。従前は残存価格を10%と定めて計算していたのを、今回の改正で残存価格が1円になりました。これにより、償却額が多くなりました。
(1)たとえば、耐用年数が10年ですと、従前の定率法の償却率は0.206、新法では、0.250、5年ですと0.369・新法では、0.500となります。(2)上記の印刷機で本体価格が4,800,000円ですと、初年度1,200,000円の償却額となり、リース資産時の償却費720,000円より、480,000円多く費用化できます。(3)中小企業者等の機械等を取得した場合の特別償却を適用すれば、取得価格の30%の1,440,000円が初年度に費用化できます。

Q

リースが良いか買取りがよいか。

A

(1)リース契約が、資産計上されることになった結果、購入と同じ処理方法になりました。資金的に余裕があれば、購入がよいでしょう。というのも、少額資産(10万円以上30万円未満)は年間300万円まで、購入時の費用に計上できることと、前述した特別償却の対象になる資産なら、その適用を受けることができるからです(但し、資本金が1億円以下の法人)。(2)リース物件は途中解約をすると、違約金の発生があります。新規の便利な機器等が開発されている中で、機能が落ちた機器等は買い替えたくなるでしょう。(3)車両をリースにすれば、保険から税金・車検等の費用が、リース料に含まれることが一般で、毎月定額の支払で経理上利便性があります。試算ですが、リース料の支払総額と、購入した場合の支払総額とでは、購入代金を借入して金利がある場合との支払総額にそれほど差がありません。
このように、リースにするか買い取りにするかは、それぞれの利点・欠点を吟味して自社の運営にあった方法を検討してください。

鎌田 史郎(足立支部)
(株)会計情報アカデミー
税理士
http://www.periodique-jp.com
TEL.03-3257-0360

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