経営革新計画について(2011年8月)
経営革新計画とは、どのような内容でしょうか。
経営革新計画とは、中小企業新事業活動促進法に基づき3年~5年の経営革新計画を策定することで、経営理念の社員との共有化や経営目標を明確にし、税の特別措置、保証・融資の優遇措置、販路開拓の支援措置などを受けることができる制度です。
平成23年3月末で、45,415件の承認を受けています。
経営革新計画の作成のポイントはなんですか。
一つ目は、事業計画上に、①新商品の開発や生産、②新役務(サービス)の開発や提供、③商品の新たな生産方式や販売方式の導入、および、④役務(サービス)の新たな提供方法の導入その他の新たな事業活動の、一つ以上の新事業活動を盛り込むことです。
二つ目は、経営目標上、②『付加価値額』又は『従業員一人あたりの付加価値額』が、年率平均3%以上伸びていること、③経常利益が年率平均1%以上伸びていることです。
どのように、準備をすればいいでしょうか。
先ず、社内体制をしっかり固めることです。具体的には、東京都庁から資料を入手し、関係者を集めて勉強会を開催します。勉強会では、経営者自身の考え、基本方針・経営理念を掲げ社員に理解してもらい、自社の現状や課題を明確にします。
次に、社内での役割分担を決め、責任を明確にします。そこで大枠のスケジュールを決めます。
さらに、全社員に対し、経営革新計画の重要性を説明し、十分な理解を得られるようにします。これができないと、結局は、一部の関係者しか実行しない、絵に描いた餅になってしまいます。
経営革新計画策定で特に大変なのは何ですか。
一番大変なのは恐らく「経営計画と資金計画」でしょう。1 ~2年先の売上状況ですら予測が難しいのに、3年~5年先の売上予測をしなければなりません。ここでは、自社の事業環境を顧客、仕入先、雑誌、インターネットなどを通じて丹念に業界分析を行い、見込み顧客を想定します。それらから、売上予測、利益率予測を立て、受注確率毎にランク分けして、3年~5年間に振り分けます。
これらの作業は、とにかく全社員を総動員して主体的に行うことです。外部のコンサルタント等から助言をもらうのはそれなりに効果はありますが、主役はあくまでも計画を実施する社員であることを忘れてはいけません。
承認時には、経営革新計画を策定した当社がこの計画を本当に実行できるのか、本当に経営目標を達成できるのかが問われます。そして、そのためには、数値的に裏付けされた経営計画であることが要求され、必要な設備投資や、必要な人の配置などが十分かなども問われることになります。
ですから、経営革新計画策定は、まさに、自社の経営革新そのものですから、全社員の十分な討議・理解・共有化が必要で、パッケージソフトにデータを入力するような代物ではないことを十分に肝に銘じる必要があります。
椎木忠行(練馬支部)
㈱ペリオディーク・コンサルティング
中小企業診断士、販路コーディネーター1級、ITコーディネータ、
事業再生士補(ATP)、ファイナンシャルプランナー
TEL.03-3257-0360