グローバル化と基礎技術の 変化について考えてみましょう。(2012年8月)
他分野への進出について。
つい先日も、系列の中堅企業から、現地化と他分野への進出の対応が可能かとの問い合わせがありました。
自動車メーカーもタイ、インドネシアなど新興国へ工場進出し、現地の部品メーカーから調達する時代となりました。系列であっても現地メーカーと競合が避けられません。一方、駆動源がハイブリットからさらにモーターへと基礎技術自体が変化し、他業種と競合に直面します。
【固有分野へのこだわり】
バイクのハーレー社のように、一部のマニア的な愛好者を対象に事業を縮小して継続することも選択肢です。この場合、個性のあるブランドが強い選好性を獲得することになります。
【現地化対応】
相談者は、現地化は近々の課題、分野シフトはタネを仕込む段階と考えています。
現地化では、製品の品質、価格の他、生産に伴う技術流出の対策を検討する必要があります。
親会社のスペックに頼っていては、差別化ができませんので、その社固有の強みを発揮し、知財化して競争優位を築くことを考えましょう。
生産技術(製造ノウハウ)の流出は、人材の移動に影響されるので、雇用条件の対策が必要でしょう。また、生産設備の内製化によって、ノウハウの秘匿を計り、流出しそうなタイミングで特許化をはかるなどきめ細かな対応が必要になります。
【固有ブランドの構築】
ブランドを確立して、他社との区別性を際立たせ、グローバル化や脱系列でも、指名買いのチャンスを増やす。
【知財専門家の選択】
競争優位を確保するために、知財の活用が有効です。特許事務所は、戦略的な内容まで相談できる所を選んでください。現地専門家と連携する能力も重要です。
【自社強みの把握と展開イメージ】
たくさんの特許を取っているのに、浸食され、つぶれた会社がありました。多方面へ思いつくまま特許化をしており、数はあっても、肝心の所は抑えられませんでした。
価値連鎖の中で自社の立ち位置、今後どの部分に重点を置くのかを見極め、資源を集中しましょう。
例えば、価値連鎖の中で、御社は何処に立脚しているのか、何処を磨くのか、戦略を明確にして、経営資源を集中しましょう。知的資産も忘れずに企業価値の源泉を見極めてください。
<価値連鎖分析の例>
(この企業が価値を獲得する部分は製造分野ですが、生産そのものは委託の要素が高く、前後の調達や販売の部分が得意です。さて、今後は、何処を強化すべきか・・)
長谷部善太郎(千代田支部)
お茶の水内外特許事務所
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