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経営者Q&A

投資か内部の強化か(2017年10月)

Q

当社は3人のスタッフを雇って、スタジオ撮影事業を行っています。ただ、①業績が頭打ち、②スタッフがまだ教育途上、③スタジオ自体が手狭になりつつあり、④新規に増床したスタジオを借りれば、貸しスタジオ事業も行える、といった場合、積極的にスタジオ増床して投資すべきか、それとも今のスタジオでスタッフの教育等、内部の強化を図るべきか、何か明確な基準などはあるのですか?

A

スタジオを増床しても都合良く「貸しスタジオ」を欲している案件が見つかるとは限りません。また、増床=スタジオ撮影のキャパシティ増加=スタジオ撮影の案件も増 やさないといけないことになります。また仮に撮影案件が上手く増えても、(戦力化していない)3人のスタッフでは対応しきれず、更に「良い」スタッフを雇っていかないといけません。
では、そんなお金をかけずに現行スタッフを「戦力化」していく地道な方が良いのか。ただ、こちらも「なかなかに骨の折れる」作業のようで、戦力化まではかなりの時間がかかりそうです。時間がかかるということは中小企業では死活問題。どちらが良いか難しいし、もっと良い方法がないか、ホントの課題が何か、一緒に考えてみませんか?と言いたくなります。(実はこれが真の回答ですが。)
ただし、これらを判定するための明確な数値基準はあります。それが「一人当たり粗利」です。なお、粗利は「売上-変動費」。変動費とは「あなたの会社の製品サービスを1単位、売った時に必ずかかる費用」のことです。例えば、小売業でいえば、100 円のジュースを10 円で仕入れているのであれば、粗利は90 円。 このような粗利を、社長や役員も含めた従業員数で割ると「一人当たり粗利」が算出できます。従業員数はフルタイムで働く人が何人か、で計算してみてください。計算は年間ベー スになります。
さて、中小企業において、「一人当たり粗利」の中心値は800 万円だと言われています。中小企業においては最低限、この800万円を死守したいところですが500万円(~300万円台)で推移している企業も少なくありません。
増床投資か、内部強化か、の基準は「一人当たり粗利」が800 万円を超えているかどうか、になります。増床投資は人を増やすことにもなりますので、この「一人当たり粗利」=付加価値を低めることになります。スタッフが戦力化していない現状ではそもそも800 万円を下回っているはずで、そんな状況で増床+人員増加をしたら、付加価値を更に低めてしま います。

前田 和宏(中央区支部)

株式会社 銀座みらい会計
公認会計士

TEL.03-5799-6056
E-mail : maeda@biz-straight.com
HP : http://biz-straight.com

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