IoTってなんだろう(2018年5月)
「IoT」という言葉を聞きますが、当社のような中小企業では、どのように取り組んだらよいのでしょうか。
IoT(Internet of Things モノのインターネット)とは、インターネットにモノが接続されることを言います。機械などモノでデータを自動計測・収集させ、インターネットを通じて、データを蓄積させます。これによって、「実態の見える化」「遠隔で制御」「自動化(AI化)」できるようになります。直感や長年の経験に頼っていた仕事を、機械でも再現できる可能性があります。
Ⅰ 中小企業がIoTでできること
多くの実証実験がされています。できることは大きく3つ、「見える化」「制御」「自動化」に分類できます。「見える化」とはモノから計測・収集したデータを統計的手法により分析し、数値やグラフによって傾向や状態を視覚的にわかるようにします。これにより現場の状態を把握できます。例えば製造業で機械の稼働率を計算する、タクシー業では乗降客の需要時間・エリアを分析し、ドライバーのシフト配置を調整するなど実例がでています。
「制御」とは遠隔で機械などをコントロールすることを指します。空調や家電をスマートフォンで操作する、より効率的にシステム運用するなど、実例がでています。
一方で、「自動化」とは人工知能(AI)の活用により、機械・システムが自分で考えて動きます。
AI をより正確な知能にするためにはビッグデータが必要で、こちらは今後もデータの蓄積が必要な分野です。例えば、自動車の自動運転が有名ですが、他には携帯電話会社では顧客問合せをシステムに読み込み、回答例をオペレーターに示してくれます(現在、回答はオペレーターが行っています)。
さらに、AI やIoT の活用は働き方改革に役立てることも検討されています。メガネ製造・販売の会社では眼球や体の動きで、「集中度合・疲労度合」を計測するメガネも販売されています。
Ⅱ 導入の前に検討すること
中小企業で導入を考える場合には、当社の課題から検討することが重要です。例えば、購買・仕入れから出荷、そしてアフターサービスといったビジネスフローから、どの部門が制約になっているか?ベテランの経験に頼らざる得ない作業はないか?などの視点から検討します。
IoTはまだ成長分野で、今後も新たな使い方、技術開発が期待されます。まずは試してみることです。お試しキット(センサーや携帯アプリ)が最近では数万円で販売されています。
Ⅲ 中小企業こそ、IoTを取り入れるべき
中小企業の大きな課題と言えば、特に「生産性の向上」と「担い手の不足」が挙げられます。「生産性の向上」には「利益拡大」や「費用削減」なども含まれます。
「担い手不足」も重要な課題です。これから国内の人口が減少すると仮定するなら、担い手はさらに不足する可能性があります。会社経営には、より効率的な人材活用が求められると思います。中小企業こそ、IoTを取り入れるべきと考えます。
原 知世(豊島支部)
はら中小企業診断士事務所
中小企業診断士
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