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経営者Q&A

「瑕疵担保責任」がなくなる(2018年8月)

Q

今度の民法改正で、今まで売買契約の際の重要事項だった、瑕疵担保責任というのがなくなると聞いたのですが、ほんとうですか。

A

そのとおりです。昨年5月に民法改正が決まり、3年以内に施行ということになりました。改正されたのは、時効や法定利率、約款契約など、かなり多方面にわたっているのですが、売買契約のところでは、「瑕疵担保責任」ということば自体がなくなりました。

Q

売買の際の重要事項なのに、なくして困らないのですか。

A

瑕疵担保責任というのは、売買目的物に「隠れた瑕疵」(普通の注意ではわからない欠陥)があった場合、買主はその瑕疵を知った時から1年以内であれば、損害賠償請求できるし、売買の目的達成ができない場合は売買契約を解除できるという規定でした。
しかし、この「隠れた瑕疵」というのは、どんなものを言うのか現実には難しく、また、損害賠償か解除しかなくて、不便でした。実際には、補修とか、代金減額とか、同様のもの(代替物)と取り替えるなど、いろんな対応がされています。
それで、「瑕疵担保」というわかり難い用語をやめて、「契約適合性」という考え方にしたのです。
要するに、売主は売買契約の内容に適合した物を引渡す義務があるわけですから、引渡された物が契約の内容に適合しないときには、買主は追完請求や減額請求をすることができる、ということにしたのです。
追完請求とは、補修を求めたり、代替物を給付するよう求めたりすることです。また、「瑕疵」という言葉が物の欠陥という感覚なのですが、現実的には、権利関係に不備がある場合も瑕疵となるのです。そこで、これを「契約不適合」としてわかり易くしたため、瑕疵という用語はなくしてしまったわけなのです。

Q

そうすると、これからは、売買の目的物に欠陥があった場合、買主としては、①補修請求、②代替物の引渡請求、③減額請求、のどれを選んでもよいということですね。ところで、売主の側のことですが、代替物として同じ物はないのだけど、ほとんど同じような物があるので、それで勘弁してほしい、というような場合もあると思います。それは認められるのでしょうか。

A

それも新法では場合によって認められることになりました。
もちろん売主が一方的に別の物を押し付けるのは困りますから、「買主に不相当な負担を課するものでないとき」という条件で、買主が請求した方法と異なる方法で、追完することもできる場合があるというただし書きが付けられました。(新法562条1項ただし書)
これらはすべて、当初の売買契約の「契約適合性」ということで判断されることになります。

原口 紘一(三多摩支部)
原口法律事務所
弁護士

TEL.03-3361-9633
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HP : http://haraguchi-lawoffice.jp
E-mail : haragchi@f7.dion.ne.jp

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