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経営者Q&A

新商品発表の際の注意点 〜儲かるしくみを作ろう〜(2018年10月)

Q

東京中小企業家同友会で年2回行われている「記者懇談会」において、自社の新商品を発表しようと思いますが、何か気をつ けることはありますか?

A

原則として「記者懇談会」での発表前に、特許・実用新案・意匠又は商標による知的財産保護の手続を完了しておくことが必要になります。

Q

「特許」「実用新案」では、どのようなものが保護されるのでしょうか?

A

「特許」の場合、商品であればその構造、組成や商品の使い方(方法)、製造方法、サービスであればビジネスモデルやプログラムが該当します。「実用新案」の場合、保護対象は「物品」に限定され、方法については保護されません。また、実用新案は無審査制度の下、簡易なものを簡易に保護するしくみになっています。

Q

「意匠」では、どのようなものが保護されるのでしょうか?

A

「意匠」の場合、物品のデザイン(外形)について保護されます。例えば、「ペン」「かばん」「機械」「包装容器」などです。

Q

「商標」では、どのようなものが保護されるのでしょうか?

A

「商標」の場合、商品やサービスの名称(名前)について保護されます。例えば、「TOYOTA」「SONY」などです。

Q

自社の新商品に関し、何も手続をせずに記者懇談会で発表した場合、どうなりますか?

A

「特許」「実用新案」及び「意匠」については、登録要件として新規であることが要求されるため、記者懇親会での発表により公知(公然と知られること)の状態となり、原則として特許権、・実用新案権及び意匠権を取得することができなくなります。

Q

「商標」はどうなりますか?

A

「商標」は、登録要件に新規であることは要求されませんが、新聞等に掲載された記事を見た第三者が、「いいネーミングだな」と感じ、自社製品に同じ名前を付して販売されてしまった場合、その第三者の行為を止めさせることは大変です。

Q

手続が間に合わず、発表してしまった場合、もう特許出願などを行って権利を保護することはできないのですか?
新商品を他社に売り込みに行く場合などはどうでしょうか?

A

「新規性喪失の例外」という手続があります。商品発表をした日から1年以内に特許出願をした場合に新規性喪失の例外規定の適用を求めた場合は、新規性が喪失しなかったものとして取り扱われます。「実用新案」及び「意匠」についても同様の手続があります。「商標」の場合は、もともと登録要件に新規性が求められていないため、特定の博覧会出品の場合のみこのような手続が認められるにとどまっています。
なお、新規性喪失の例外規定を適用した場合にあっても、第三者が同内容の特許出願などをした場合は、先願主義により、第三者の出願が特許などの権利を取得することになりますので、例外規定を使わず、発表前に手続を完了しておくことがベストと考えます。
他社への売り込みについても「記者懇談会」発表と同様、公知になる前に知的財産権の手続を行うことが肝要です。

 

斎藤 理絵(豊島支部)
特許業務法人 IPシーガル
弁理士

TEL.03-3436-3940
FAX.03-3436-1041
E-mail : rsaito@ipseagull.co.jp

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