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経営者Q&A

調達と運用を最適化し、利益を最大化させる(2019年11月)

Q

毎回、金融機関の提案通りの条件で融資を受けています。自社にとって最適な調達方法というものがあるのでしょうか。

A

会社を運営するにあたり、製造業や建設業のように受注から納品(期)までの期間が長い場合や機械や車両などを購入する際に、金融機関への融資の依頼をおこなうケースがあります。金融機関に報告する前者の資金使途は運転資金で後者は設備資金になります。 この2つの調達方法を間違えると資金繰りに悪影響を及ぼしますので注意が必要です。
運転資金に関してですが、中小企業の決算書を見ると借入金の大半が長期借入金であって5 ~ 7 年の証書貸付で融資を受けているケースが非常に多くみられます。
借入残高が多く、借入元本の返済額がキャッシュフローを超える場合、資金繰りが悪化し追加で融資の依頼が必要になってきます。 債務者が正常な営業を行っていく上で恒常 的に必要と認められる運転資金(正常運転資金)は毎月の元本返済がなく借入利息のみの 返済で対応することが妥当な融資形態の一つであると認められています。
正常運転資金は一般的に、卸・小売業、製造業の場合、「売上債権+棚卸資産-仕入債務」 であるとされています(金融検査マニュアル・自己査定別表1)。
設備資金に関して言いますと、一般的には「返済期間=耐用年数」です。機械や車両ですと 償却期間に合わせて返済期間を設定されているのですが、建物など法定耐用年数が長くなっ てくると償却年数よりはるかに短い返済期間になっているケースが多いです。
こちらも数年後に資金繰りが悪化することが予測できます。 自社の借入れが条件に沿っているかまずは確認してみてください。

つい先日の顧問先社長、地方銀行支店長との面会での出来事です。 この会社の工場の土地は会長(現社長の父)個人の名義になっています。

支店長:そういえば別件になりますが、会長 名義の土地ですが、今後の相続対策 のため会社で買い取られてはいかが でしょうか。
社長 :そうなんですよね。それも検討しな いといけないんですよね。
  :何年でお借りできるのですか? 支店長:設備資金ですから7年ですかね。
  :そうですか。(試算表を前に)でも これって利益償還できませんよね。
支店長:苦笑いw

会社が土地購入の目的で資金調達した瞬間、資金繰りが悪くなります。返済が厳しくなると土地担保や信用保証協会付きで限度枠がある限りは追加で融資をしてくれます。間違った資 金調達をして財務状況が悪くなる入口のケースです。

 

長谷部 善太郎(千代田支部)

株式会社 稲田財務
一般社団法人地方創生経営支援協会、
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