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経営者Q&A

未払賃金を請求できる期間が2年から3年に延長されました(2020年10月)

Q

未払い残業代の請求額が増加すると聞きました。会社はどのような対応をとればよいですか?

A
コロナウィルス感染拡大のニュースの陰で目立たなかったのですが、今年の4 月1 日に賃金請求権の消滅時効期間が2 年から5 年に延長されています。ただし、経過措置として当分の間は3 年となります。令和2 年4 月1 日以後に支払期日が到来する賃金の請求権に適用されます。
賃金請求権の消滅時効期間が2 年から3 年になるということは期間が1.5 倍になりますので、労働者が企業に請求できる未払い残業代の額も当然に増えると考えられます。
労働者側からすると請求金額が増えますので、今まで未払い残業代請求を躊躇していた労働者も請求に踏み切ることで請求件数が増加することが予想されます。
対する企業側の対応策は、就業規則や給与規程、雇用契約書などの労務管理について法律違反となっていないかチェックして、未払い残業代が生じない給与計算をすることです。
労務管理のチェック項目は多岐にわたりますが中でも下記3 項目の見直しが重要です。
1.労働時間管理
労働時間の管理が現行法や判例と照らし合わせて正しいかチェックしましょう。
同業他社もやっていないから大丈夫だろうとか、今まで訴えられたことがないので大丈夫だろうという考え方は通用しません。
特にフレックスタイム制や変形労働時間制、裁量労働制、事業場外のみなし労働時間制を採用している企業は適法に運用しているかチェックしてください。
そもそも労働時間をタイムカードで打刻していないという企業は、労働者側が主張する残業時間についての虚偽を証明する証拠がないということになりますので、相手の主張する残業代を全額支払うことになる可能性が高くなります。
2.管理監督者
管理監督者制が否認されると高額の未払い残業代が発生します。いわゆる「名ばかり管理職」として支払っていなかった残業代の支払いが必要になるのです。現時点で管理監督者制が曖昧と思える社員については、今後の取り扱いについて再検討する必要があります。
3.固定残業制
固定残業制として「○○時間分の残業代を月額給与に含んで支払っている」というケースも注意が必要です。
基本給およびその他の手当と固定残業手当の額の算出が適法でないケースや、固定残業時間として定めた時間を超えた分の残業代を適法に支払っていないケースが否認されている判例が多々ありますのでご注意ください。
大谷 雄二(大田支部)
ソラーレ社会保険労務士法人
特定社会保険労務士
TEL : 03-6712-8889
FAX:03-6712-8885
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