会社を譲り受けるときの事業評価の要、シナジー効果検証の着眼点(2022年7月)
業界で付き合いのあった社長から「後継者がいないので事業を引き継いでくれないか」という相談が持ちこまれました。一応財務面は専門家の手も借りて一定の調査を終わらせています。ただ、この事業を譲り受けた後でどのようなプラスの効果が実現できるのかについて模索中です。この点での留意点をお聞きしたいのですが。
お聞きする限りでは、比較的優れた経営資源を蓄積し、この経営資源を基礎にしたビジネスモデルにおいても差別的競争力を保有している会社と考えられます。このような場合、比較的しっかり会社だからそのままでも一緒になればそれなりの効果が実現できるのではないかと考えがちになりますが、このような対処姿勢と考え方は賛成しかねます。今回のご質問にあるように「譲り受けた後でどのようなプラス効果が実現できるのか」を徹底して検証することが求められます。
そうですか。私もそう思います。そこで具体的に検証していきたいと思っています。聞くところによりますと、このような手法を「事業の譲受に伴うシナジー(相乗)効果検証」というらしいのですが。
その通りです。事業の譲受が効果を発揮できるかどうかは、このシナジー効果検証がどれだけ事実に基づいて具体的に行われるかによります。今回はその考え方と検証切り口を図解しておきます。この図の見方と活用の仕方ですが、それぞれのマス目ごとにシナジー効果と何が得られるかを先ずは列挙することから始まります。
売上貢献例:既存製品のブランド統一、譲受製品による製品ラインの拡大、営業拠点統合による営業力強化、既存市場深耕、新市場(新期顧客)開拓、新販売チャネル獲得、開発力強化による製品ライン充実と新市場開拓等
コスト貢献例:設備統廃合、車輛統廃合、生産管理の統合による生産性向上と人員削減、間接部 門重複機能の統一による経費削減、購買・仕入先の見直しによる仕入単価改善、規 模拡大による交渉力強化によるトータルコスト削減等
渡辺 正幸(豊島支部)
有限会社 彩経営コンサルタント事務所
中小企業診断士
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