日頃弊社に寄せられる相談の中から、 いくつかの事例を選びご紹介いたします(2022年10月)
財産分与にあたり不動産価格を複数社に価格査定してもらいましたが1千万円以上の開きがありました、どれを信用すれば良いでしょうか?
ネット上に不動産の無料査定サービスが多く、誰もが気軽に住所等を入力すれば一瞬にして価格が出てきますが、査定根拠が乏しいため評価額によって利害が衝突する局面では当事者間の合意が難しくなるかもしれません。
こういう場合には価格の算定過程が明示される鑑定評価を取ることをお薦めします。出来れば当事者が鑑定費用を折半してご依頼いただくような形で、客観的かつ中立的な立場で評価することが望ましいと思います。ADR(裁判外紛争解決手続)の活用も一考の価値があると思います。
テナントで借りている物件の大家さんから更新時期に来ていきなり賃料増額の請求がありました。どうすれば良いでしょうか。
このような場合、本人または弁護士が直接的に交渉することになりますが、相手側から提示された根拠資料を精査したり、反論する材料として不動産鑑定士による継続賃料評価が有効かと思います。継続賃料評価では、現行賃料が定められた経緯(諸般の事情)及びその後現在までの固定資産税、地価等の変化(事情変更)が重要な要素となります。
その他の事例や事業の取り組みについてお聞かせください。
そうですね。その他の鑑定ニーズとしては同族会社間、関連会社間、親族間の不動産売買ですね。売買金額が恣意的に設定されやすい反面、税務上は時価で取引しないと低額譲渡などの問題が発生するため、時価の裏付け資料として鑑定を取得するケースがあります。また、銀行融資の稟議資料として評価書が求められることもあります。
相談内容は鑑定以外にも、売買、賃貸、相続、建築など多岐に亘ります。不動産鑑定はそのソリューションの1つに過ぎないと考えています。不動産にはさまざまな人間模様、生き様などが入り交ざっており、最終的な着地点を導くためには、当事者の様々な要素を十分考慮したうえで判断しなければなりません。また適確な判断を行うために他士業や専門家との連携を図り、円満解決に取り組み、一層の社会貢献ができればと考えております。
木村 修(杉並支部)
株式会社木村不動産鑑定
不動産鑑定士
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