利息制限法について(2002年10月)
先日のニュースで「日○敗訴!! 借主である原告に対し、不当利得金として金1140万円を支払えとの判決」というのがありました。あの「目玉と肝臓売れ~~~」で一世を風靡した日○が借主に返還する?…とはいったいどういうことなのでしょうか?
この裁判は、貸金業者である日○が借主である中小企業者に対し「220万円の貸金の支払いを求める」との訴えを提起したところ、逆に借主側から、「貸主である日○には既に債務を完済しており、さらに1140万円もの過払いになっているので、その返還を求める」との反訴を提起され、その反訴が認められた事例です。
このような裁判は、近年急増しています。貸金の利息について「利息制限法」または「出資法」のどちらの制限金利が適用されるのかが主な争点となり、借主側勝訴の判決が多く出ています。
1140万円も余計に払い過ぎていたなんて……。過払い金が発生する理由をもう少し詳しく教えてください。
利息についての基本的な法律は「利息制限法」です。この法律によれば、100万円以上の貸金の上限金利は年15%であり、その利率を超える利息部分は無効であるとされています。
一方、主に貸金業者を規制する法律である「貸金業規制法」の第43条には「みなし弁済規定」が設けられており、「貸金業者が貸金業法の定める厳格な要件を満たした上で、債務者が任意に支払った利息は、出資法に定める制限金利である年29.2%を上限として有効な利息の支払いとして受領してもよい」と規定されています(この利息制限法の上限金利である年15%〈元本100万円以上〉と貸金業規制法第43条による出資法の制限金利である年29.2%の差がいわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる部分)。
つまり一定の要件さえ満たしてしまえば、年29.2%までは利息を受領してもよいと決められているのです。
反対に、要件を一つでも欠く場合には、「みなし弁済規定」の適用はなく、利息制限法の制限金利が適用されることになります。みなし弁済規定は、本来あくまで利息制限法上無効な弁済を例外的に有効な弁済とみなす規定であるため、その要件は非常に厳しく定められています。そのため、この要件を満たすのは容易ではなく、多くの商工ローンやサラ金業者などは、要件を満たさないまま利息制限法を超える利息をとっているのが現状です。
この要件を満たしていない場合には、当然に利息制限法が適用されますので、利息制限法による上限金利で計算し直し、これを超える分を元本に組み入れた結果が過払いになっているのであれば、過払い分の返還を求めることができます。
サラ金からの借入はどうなりますか?
武○士やア○ムといったサラ金からの借入も一定の要件を満たしていなければ、利息制限法が適用されることになります。
高良 実(墨田支部)
司法書士 みなみ司法書士合同事務所
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