タイトルアイコン

経営者Q&A

フレックスタイムを導入したいが?(2002年7月)

Q

当社では、社員の要望により、フレックスタイム制度を導入することになりましたが、制度導入にあたって、法的要件はどのように定められているのでしょうか?

A

フレックスタイム制を採用するには、
(1)就業規則等により始業および終業の1時刻を労働者にゆだねることを定め、
(2)労使協定により、対象となる労働者、清算期間(1ヵ月以内)、清算期間における総労働時間、標準となる1日の労働時間、フレキシブルタイムおよびコアタイム等々を定めなくてはなりません。

Q

1ヵ月の清算期間・総労働時間はどのようにして決めるのでしょうか?

A

清算期間とは、1ヵ月単位の変形労働時間制の場合の変形期間にあたります。また、清算期間の総労働時間は、清算期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えない範囲で定めなければなりません。この計算は次の通りです。総労働時間=40時間×(清算期間の歴日数/7日)一方、フレックスタイム制では、始業時刻・終業時刻を労働者の決定にゆだねていますが、労働時間の把握については使用者にその義務があります。したがって、使用者は勤務表等に当日の始業時刻、終業時刻を記載させるなど各労働者の各日の実労働時間をきちんと把握できる方法を講じておくことが大切です。

Q

年次有給休暇の取り扱いはどのようになるのでしょうか?

A

フレックスタイム制で、年次有給休暇を取得した場合には、労働時間をどのように計算するのかという問題があります。これは、労使協定の規程により「標準となる1日の労働時間」を年次有給休暇取得者の賃金支払いの算定基礎とします。

Q

清算期間の所定労働時間に過不足が生じた場合の措置は、どのようにするのでしょうか?

A

労働時間および賃金は清算期間ことに清算しなければなりません。したがって、清算期間の総労働時間に比べて実際の労働時間に過不足が生じた場合でも、その清算期問内に清算するのが原則です。しかし、労働時間に不足が生じた場合、賃金カットには困難が伴います。そのような場合は、賃金で清算せずにその不足した労働時間を次の清算期間に繰り越し、調整する方法があります。

Q

フレックスタイム制での時間外・休日労働の取り扱いはどうなるのでしょうか?

A

(1)時間外労働については、1日、1週間ではなく、清算期間を逆算して法定労働時間を超えた時間で算定します。従って、法定労働時間を超えた場合は、2割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となります。一方、休日労働については、清算期間内における労働時間として算入しますが、総労働時間の総枠を超えた場合は、2割5分以上の率で計算した割増賃金の支払いが必要となります。

戸室 康廣(中央区支部)
社会保険労務士 戸室労務管理事務所
TEL 03-3230-8588

戻るボタン
経営を磨きたい 経営の相談をしたい 交流したい 人を採用したい