売上げ・利益の縮小にどう対応するか?(2001年8月)
売上げが落ちる一方、利益のほうも得意先の値下げ要求が激しくて落ちる一方です。
どんな手を打ったらよいのでしょうか。
マーケットが縮小するデフレ経済の下で経営環境が激変しています。その結果、メガ・コンペティション(大競争)が常態となり、多くの会社が御社と同じような状況で苦しんでいます。
このような状況での経営ポイントは「選択と集中」です。御社もすべての部門、すべての得意先で売上げ・利益の減少ではないはずです。一つひとつ見ていけば伸びている分野も必ずあるはずです。それを掴んでその分野(その得意先)にエネルギーを集中すること、そして、将来性のない部門(得意先)は思い切ってカットし、その分社内体制も縮小することです。
確かに売上げが伸びている部門(得意先)はあります。しかし、値下げ要求が激しくて利益になりません。どうすれば利益を確保できるでしょうか。
成熟した業界では、コストダウンとサービスの競争になります。まず、コストダウンに取り組むことです。そのためには、第一にどの工程で多くのコストがかかっているのかを分析してABCにランクづけします。その上で、大きなコストのAランク部分を引き下げるため、仕事の進め方(システム)や使っている材料を見直すなどの工程の革新に取り組むことです。
わかりましたが、当社の仕事は、長期的に見て将来性が感じられません。
新分野への進出が必要だと思います。その場合はどのように進めたらよいでしょう。
うまい話に乗って、まったく関係のない業界に投資するなどは失敗のもとです。今、やっている仕事の関連で、「顧客が困っていること」、「顧客がもっと合理化できないかと考えていること」を掴んでそこに知恵を絞ることです。
たとえば、ある倉庫業者は、預かっている商品を見たらタッグのついていない輸入衣料品があったので、タッグ付けをしましょうかと提案したら大変喜ばれ、次は各スーパーに配送してくれないかと言われました。そこで、既存の運送業者に負けないようにと、社員の創意を集め合理的な配送システムを開発しました。その結果、今は単なる倉庫業から、物流のコンサルタントまで引き受ける将来性ある業態に転身してしまいました。
転換期の今はあらゆる場面で、時代に合わない不合理や矛盾が発生しています。そこをとらえて、解決策を考え出すことがこれからの経営の要点です。知恵と行動によって、まさにピンチがチャンスになるのです。
根本 寛(目黒支部)
近代経営研究所代表 中小企業診断士
TEL 045‐972‐1480