就業規則の見直しは実態に沿って(1999年11月)
当社では、このたび就業規則の見直しをしたいと思っていますが、どのような点を考慮したらよいのでしょうか?
就業規則は、一般に「会社の憲法」と称されています。昨今の経営環境が激しく変化していく状況のなかで、就業規則もその変化に対応したものでなければ、本来の機能は発揮できません。そこで常に現状に沿った内容の見直しが必要になってきます。 その見直しの要点は次の二点を考慮する必要があります。
1.労働関係に関する諸法令の改正に伴う見直し
2.経営環境の変化に対応していくための見直し
具体的には、どのような事柄に留意したらよいのでしょうか?
第一の、最近の労働関連諸法令では、次の各項目が改正されていますので、それに伴う見直しが必要になります。
1)女性に対する時間外・休日・深夜労働の規制の撤廃、変形労働時間制の改正、長時間にわたる時間外労働の抑制、年次有給休暇の付与日数の引き上げ等についての見直し
2)六十歳定年制の義務化および六十歳定年制に対する努力義務の新設についての対処
3)育児休業に加え、介護休業法の新設に対して、新たな規程の設定
4)短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の改正によりパートタイマーを対象とした就業規則の整備
第二の経営環境の変化に対応していくための見直し
1) 年功賃金制度から能力給・職務給・年俸制等の導入などを始めとした賃金制度の見直し、さらにパートタイマー・嘱託・契約社員等々の雇用形態を採用してコスト削減に向けた検討と導入が求められます。
その結果、さまざまな雇用形態・賃金制度に見合った就業規則・賃金規程等の見直しが不可欠です。
2)高齢化社会および少子化に伴い、若年労働者の減少傾向に対処するためには、高年齢者の社員および女性社員の活用が不可欠であり、それを考慮した就業規則の見直しが求められます。
3)今後は社員が会社に求める内容も変化し、従来の画一的な処遇ではその要求を満たされなくなっています。終身雇用制を前提とした賃金体系・退職金規程が設定されていましたが、最近の若年層は、一つの会社に勤めるよりも自己の能力を生かせる仕事を選んだり、好きな時間に働ける余裕のある会社を求めています。
社員の意識の急激な変化に対応した制度の構築が不可欠になり、必然的に就業規則の見直しが必要になってきます。
戸室労務管理事務所/戸室康廣 社会保険労務士(中央区支部)
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