中小企業のための 節電行動計画作成マニュアル

一般社団法人 東京中小企業家同友会発行

節電実施中

中小企業のための節電行動計画マニュアル(節電行動計画策定企業ステッカー プレゼント中!)

マニュアル・ステッカーご希望の方・節電行動計画作成フォームのダウンロードはこちらより

本マニュアルでは節電行動計画を大きく下記の5つのステップにわけて作成します。

  1. ステップ1. 電力消費の現状を理解する。
  2. ステップ2. 社員と共に考え、社員の智恵を集めよう。
  3. ステップ3. 自社の消費電力を把握する。
  4. ステップ4. 節電行動計画を立てよう。
  5. ステップ5. 節電の実施と検証と改善⇒ステップ2へ

ステップ1. 電力消費の現状を理解する。

1今年の夏の電力不足による節電対策

現在、東京電力の発電供給電力が低下し、同電力管内の夏季電力が不足する事態となっています。中小企業のほとんどが契約電力500kWh未満)ですが、社会に安定のために自主行動計画を策定、実践することが大切です。またウクライナ情勢など世界のエネルギー資源をめぐる環境は不安定化しており、長期的な環境対策も視野に省エネを長中期のスパンで常態的に取り組んでいく事がもとめられます。

2事務所は何に電力を使っているのか 夏季は11時~14時に注意!!

オフィスの消費電力の内訳は一般に照明40%、コンセント32%、空調28%です。
コンセントには、事務機やパソコンの消費が含まれます。
特に空調については外気温や室内の発熱物にも左右されるため夏季は11時から14時頃の使用量がとくに増加します。

ステップ2. 社員と共に考え、社員の知恵を集めよう。

節電の効果的な実施には、社員全員が節電の内容をよく理解することが肝要です。現場を良く知り、実行するのは社員ですから、社員全員が中身を理解し納得しない限り実現ができません。また、マニュアルを元に社内で勉強会を実施し、社員が主体となって自発的な提案が出るように進めるとより効果的です。

社内での勉強会を通じて、「機械の利用に無駄がないか?」「作業手順を見直すことはできないか?」「代替の方法はないか?」など、現場に眠っている気づきを吸い上げることが大切です。「やらされているだけのケチケチ運動」ではなく、「企業の社会的な価値を踏まえ自主的に行う節電計画の実施運動」へと高めることが大切です。

ステップ3. 自社の消費電力を把握する。

電力の節約や効率的な使用を考える場合、どのくらい電力を使っているかを捉えることからはじめるのも一つの方法です。具体的に説明します。

1一般に消費電力量とは?

電気の量を電力量といいます。次の計算式で計算できます。

電力量(Wh)=電力(W)× 時間(時)
単位はワット時(Wh)キロワット時(kWh) 1000Wh=1kWh

たとえば100Wの照明を8時間つけたとします
一日の消費電力量は 100W×8時間=800Wh
これを事業所で毎月20日間 使用すると『800Wh×20日=16000Wh』つまり毎月『16kWh』の電力量という事になります。
消費電力量を削減するためには、大きくは消費電力を小さくすること』稼働時間を削減すること』
この2つがカギとなります。

ご家庭の消費電力は各電気会社のホームページより検索で見る事ができます。
例.東京電力(出典:東京電力 TEPCO-料金・使用料のご確認)

2事業所で用いている電気機器の消費電力を把握する

照明や電機製品の消費電力はカタログなどからわかります。インターネットを利用して商品の名称や型番、メーカー名などをもとに検索すると、メーカーの提供するスペック情報から稼働時の消費電力や待機時の電力消費など把握することができます。またワットチェッカーなどの機材でも簡単に調べる事ができます。

【主なオフィス機器の消費電力の一例 (あくまで目安値です)】
機器名 稼動時 待機時
デスクトップパソコン 163W ノート型パソコン60W
プリンター(モノクロ) 500W(待機時 25W)
プリンター(カラー) 1000W(待機時25W)
コピー機800W(待機時60W) FAX1000W
扇風機 強40W 弱20W              

3事業所で用いている電気製品の数と稼動時間を把握する。

使用している電気機器の消費電力がわかったら、使用している数量と稼動時間を確認していきます。(待機電力についても確認のこと)下記アドレスに記載の節電行動計画に数値を記入していくと簡単に自社のおおまかな消費電力を計算することができます。

なお、記入していく数値は最も電力使用量の多い夏期を想定して記入いただくと有効な節電計画を立案することに役立ちます。

4エアコンなどの消費電力を把握するには

テナントなどで利用される業務用エアコンの消費電力の把握については、床面積、冷房効率、外気温、室内の発熱する装置から発生する熱量などによって左右され、複雑な計算式が必要となります。
そこで今回のマニュアルでは業務用エアコンの平均値による下記概算値をもとに算出していただきます。エアコンは「台数」の欄に「坪数」をいれて計算してください。

一坪当たりの消費電力 (省エネ最新のものはカタログ確認)
一般事務所 450Wh 商店 600Wh 喫茶店 860Wh 飲食店など 1000Wh

ステップ4. 節電行動計画を立てよう

節電行動計画をたてるために
これまでのステップで明らかになった、対策前の使用電力量や現場の気づきをもとに計画を策定します。節電行動計画シートを利用し、自社の消費電力の内訳をもとに節電のポイントを検討します。「節電対策後の使用電力」の欄に計画の数字を入力していきます。

  1. 電力量
  2. 稼働時間
  3. 稼働台数

この3つを減らすことが電力使用量の削減につながります。

電力量の削減には、出力設定の変更やエネルギー効率の良い機材への変更、エネルギー効率を下げる外部要因(直射日光や発熱する機器の隣接、換気など)への対策などがあります。

稼動時間の削減には、機材のON・OFFの徹底。アイドリング時間の短縮、作業工程見直しなどがあります。稼動台数の削減には、作業内容やエリアを把握した上での使用機材の間引きなどがあります。

また、計画の作成から実施にあたっては責任者や計画推進の分担、日報などのチェック体制を具体的に定めて、自社の節電計画が推進される【しくみ】をつくりましょう。

事業所(通常オフィス)での参考事例

1照明設備関係

  1. エントランスや使用頻度の低い部屋などの照明の間引き、照度の変更
  2. 自然の日照をいかして日中は消灯する
  3. 人感センサーや手動でのON・OFF、スイッチの細分化などによる稼働時間効率化
  4. LED照明や反射板の利用など設備投資による省エネ化

2パソコン関係

  1. ディスプレーの輝度設定を下げる
  2. パソコン本体を省電力設定にする
  3. 席を立つときや外出するときなど不使用時には電源を切る

3空調設備関係

  1. プリンター使用時にだけ電源を入れる
  2. 冷却ファンの清掃、給排気部のスペースを十分にとる
  3. ノート型PCにする(停電が起きても稼働できる)
  4. エアコンの設定を28℃にする
  5. エアコンと換気扇との併用をできるかぎり避ける。(ただしコロナ対策は別とする。)
  6. 扇風機の併用により効率をアップする
  7. 冷房の使用時間カットや空調のゾーニング
  8. 外気温が適温の場合は外気を取り入れ、冷房を使用しない。
  9. 空調のメンテナンスや清掃による効率のアップ
  10. クールビズなど気温にあわせて柔軟かつ長期的に取り入れる
  11. 日照による温度上昇を留意し遮光カーテンや反射パネルなども活用する

4設備機器関係

  1. 昼休みや退社時は各機器の電源オフの徹底。
  2. 冷蔵庫などには蓄冷パネルやナイトカバーを活用する。
  3. 冷蔵庫や給湯器の出力設定の変更が可能なものは出力をセーブする
  4. 業務を合理化し設備の稼動時間を短縮する
  5. 大電力を要する設備については自家発電やインバータの導入なども検討する

5エレベーターなど、ビル共用部分について

  1. 低層階の移動は基本的に階段を用いる
  2. オフィスの外でも節電を心がける
  3. 管理会社などへも積極的に節電計画の策定・実施を勧める

6節電担当者の任命

  1. 節電担当者を設置して節電の徹底を行う。効果の検証と改善を重ねて社内に徹底する

7オフピーク操業の検討

  • ノー残業デー、サマータイム、テレワークの導入など、労働契約に関わる内容については、手順を踏まえながら労使間で十分に話し合い、検討する
  • 電力使用が集中しない時間帯でのオフピーク操業など作業工程の見直しを図る

8電気の利用契約を見直す

  • 各企業の実情を勘案した上で電気使用契約の見直しを行う
    (最大電力需要を抑えることを念頭に置く。また、一般オフィスに多い従量契約の場合、電気量単価は段階的に高くなることを念頭に置き節電に取り組むことが必要。)

ステップ5. 節電の実施と検証と改善 ⇒ステップ2へ

立案した節電計画が計画どおりに実施されているかを定期的に検証し、新しい工夫や改善を実施しましょう。東京都や省庁などからの節電の知恵や施策の情報発信に常に注目し協力していきましょう。(政府が節電にポイント2000円を付与する事を計画中です)

各自治体や経済団体などからもマニュアルや実施事例が公開されていきます。常に情報収集を心がけましょう。本マニュアルの節電行動計画書は自社の実情にあわせて使いやすく柔軟に変更しましょう。

節電行動計画フォームのダウンロードは下記アドレスより

  1. 工場節電のポイント
  2. 各ポイントの詳細解説
  3. 取り組み方

1.工場節電のポイント

製造業の消費電力の割合は概ね「照明が10%」「空調が20%(設備の冷却なども含む)」「その他が10%」「設備機械が60%」といわれ、オフィスと異なり設備機械の占める割合が大きく、生産プロセスについても合理化を重ねてきた企業が多く、節電にはオフィスよりも一層の工夫が必要となります

★工場節電の4つのポイント(下記に詳細記載)
ポイント1…生産プロセスの合理化・生産設備利用の最適化
ポイント2…生産設備の保守点検による効率の向上
ポイント3…省エネ・創エネ設備の導入
ポイント4…従業員の協力

2.各ポイントの詳細解説

ポイント1…生産プロセスの合理化・生産設備利用の最適化には?

  1. 最大電力需要の削減 同時に多くの機材を起動させないようにする
  2. 待機電力が極力発生しないように生産プロセスを見直す
  3. 集中生産
  4. 工程短縮・設備の統合
  5. 負荷に見合った最小電力での運転

ポイント2…生産設備の保守点検による効率の向上

  1. 漏洩補修(空気・上記・水など)ポンプにかかる電力の削減が期待できる
  2. 保温・断熱・屋上緑化など 空調効果の向上が期待できる
  3. 設備の清掃・メンテナンス 潤滑不足や汚れによる機能低下を避ける
  4. 力率をチェックし無効電力を削減する
    ※特にコンデンサの耐用年数には注意

ポイント3…省エネ・創エネ設備の導入

  1. インバーターの設置 起動電力の削減
  2. 型式の見直し 
  3. コ・ジェネレーションシステムやソーラーパネルなど創エネ機材の導入
  4. 自動点灯・局部照明の採用
    ※上記の実現には各種の省エネ設備補助金や優遇税制、金融上の助成措置が活用できます。

ポイント4…従業員の協力

  1. 電力消費のピーク時を避けて操業するオフピーク化や操業時間の短縮
  2. ワットチェッカーの活用(使用電力の見える化を実現しコスト意識を高める効果)※200V以上の機器については専門の電気工事業者などに依頼

資料編 節電自主行動計画作成の手順(再確認)

節電自主行動計画のフォーマットは4枚のシートからなります。
それぞれに記入例とフォーマットを記載しております。

表1-2は事業所名、営業形態、操業時間、節電計画の概要 実施体制などを記入します。
表2-2は現状の使用電力を把握するためのシートです。
表3-2は節電計画を実施した改善後の使用電力を計算するためのシートです。

それに加えて「電力消費のピークと自社の作業メニューの対比表」(表4-2)があります。節電の目標は各企業で自主的に設定しますが、東京都や経済産業省の発表する節電目標を下回る事がないように設定してください。

※今回の節電自主行動計画表の使用電力計算法はあくまで概算です。詳細の計算にはより複雑なデーター集めと計算式、測定が必要となります。今回は一社でも多くの企業に節電にとりくんでいただくために計算式はあえて簡易なものといたしました。その点、ご了承下さい。

3.取り組み方

手順1.社員に節電の実施を宣言し、社員の知恵を集めて節電計画を考えましょう。また実行のための組織と責任者を明確にします。計画内容や実施体制については節電行動計画(表1-2)に記入します。

手順2.自社の各機材の消費電力を洗い出し、節電行動計画 節電対策前の使用電力(表2-2)に入力していきます。これで自社の消費電力が把握できます。こうすることで削減するポイントを具体的に理解する事ができます。
また、昨年の検針票や東京電力のホームページなどから自社の昨年の使用電力なども把握しておきましょう。

手順3.節電対策前の使用電力をじっくりと見直しながら節電の計画を考えます。この際に重要なのは消費電力の集中する14時をピークとした9時から20時の時間帯の消費電力を下げる工夫を考える事です。「電力消費のピークと自社の作業メニューの対比表」(表4-2)を活用して工程や作業メニューの見直しを行ってください。

手順4.社内での討議や検証した内容を踏まえ、改善計画を立て、改善計画を反映した使用電力の数値を節電行動計画 節電対策後の使用電力(表3-2)に入力していきます。HPよりダウンロードしたファイルには式を入力していますので、節電対策前の使用電力(表2)と比較した削減量とパーセントが図表の最下部に表示されます。

手順5.出来上がった節電自主行動計画をもとに実行と検証を重ねて節電を実行します。また、東京同友会より節電自主行動計画を策定した企業には節電実施中のステッカーをプレゼントさせていただきます。

節電実施中ステッカー希望 とお書きの上、送り先の住所と企業名、お名前などを明記の上東京中小企業家同友会までお知らせください。

info@tokyo.doyu.jp

戻るボタン
経営を磨きたい 経営の相談をしたい 交流したい 人を採用したい