サーキュラーエコノミーにおける事業機会の可能性について(2024年12月)
サーキュラーエコノミーは国内市場のみの中小企業でも、事業機会はありますか?
Ⅰ 循環経済( サーキュラーエコノミー)とは
サーキュラーエコノミーとは生産活動や消費活動などのあらゆる段階で資源の効率的・循環的な利用を図る経済活動を指す。従来の3R の取り組みに加え、投入資源・自社製品の価値の最大化、資源消費の削減や最小化、廃棄物の発生抑止等を目指します。
環境白書を引用すると「循環経済の取組を持続的な取り組みとして、社会経済活動の中で主流化していくために、政府として、2030 年までに循環経済関連ビジネスの市場規模を、現在の約50 兆から80 兆円以上にする」という目標を掲げており、GX に向けた取組の一つと位置付けるとともに、あらゆる主体の取組推進に向けた環境整備を進めています。
Ⅱ 中小企業におけるメリット
中小企業がサーキュラーエコノミーを取り組むのは、輸出(特に欧州市場)と関係がある会社で、「大企業の取引先から要請され仕方なく」ということが実態ではないでしょうか。しかし企業がサーキュラーエコノミーに取り組むとコストダウンをもたらすこともあります。例えば「廃棄物の削減」が「供給先や材料の最適化」「エネルギーの効率化」等です。その他にもメリットがあります。
①リスク回避
資源価格の⾼騰や紛争地域からの資源供給といった「供給の不安定化」といった「リスク回避」、気候変動や持続可能な社会に向けて、取り組まない国や企業に対するペナルティなどを回避するために取り組む必要があります。
②価格以外の他社との差別化
顧客や消費者からの評価が得られることに加えて、従業員からの期待も高まり、優秀な⼈材の確保にもつながります。新市場/顧客の獲得や事業ポートフォリオ拡⼤を⽬指します。
特に人手不足で事業の継続が難しい企業にとっては影響が大きいと考えます。
③収益創出や成⻑戦略
サーキュラーエコノミーで新たな収益源や新規事業モデルをつくり、そのためには、材料供給から顧客への提供方法・アフターケアを既存のビジネスモデルに固執せず、見直すことが求められます。コロナ禍のように既存のビジネスを見直しする機会になります。
Ⅲ 中小企業が採用するべき事例
環境白書などに記載をされている中小企業の導入事例を見ると、「省エネ」や「製品改良など」既存事業を活かしたものが多く見られます。特に省エネなど「現場からの提案・要請」に応えるものだと思います。
現場からの提案を経営に取り組むことができれば、会社の生産性を一層向上できます。中小企業にとって、近い未来を見据え、他社に先んじて改革していくことが重要です。
原 知世(豊島支部)
はら中小企業診断士事務所
中小企業診断士事務所
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