物流は想いがつながる場 ~ご縁をつなぎ、笑顔を広げたい~
都丸 中 氏
ディーエスピー株式会社
代表取締役
都丸 中 氏(練馬支部)
【会社概要】
設 立 平 成 14 年 3 月
従業員数 正社員 12 名 パート社員 60 名
事業内容 総合物流業、情報サービス業
所在地 (本社) 埼玉県志木市上宗岡4-19-28
(事業所) 埼玉県朝霞市膝折町3-2-25
H P https://ds-p.co.jp
他者と交換する行為こそ、ヒトがほかの種と異なる特徴だという説がある。交換はモノに留まらず、頭の中(アイデア)も含まれ、その磨き合いによって人類の進歩が語られる。
ディーエスピーの名刺の裏には『日本一、愛と知見に溢れ現場力に満ちた物流企業』と記されている。都丸中氏は「この言葉、社員同士の会話で出てきていたものなんですよ。他には〝うちの強みは工夫の秘密基地だね〞、なんてフレーズもありました。私も感心しちゃって、これ、そのままもらっちゃえ、と名刺に入れました」と笑う。
同社は、クライアントの商品群を管理するセンター業務と、組み合わせパッケージ化するなど整え、エンドユーザにお届けする流通加工業を軸に展開している。これは物流、という言葉に集約できるが都丸氏の語る「物流」には人間味ある響きが含まれる。
都丸氏の物流変遷
物流業界に30年超、身を置く都丸氏。創業前はバブル崩壊を肌身に感じつつ、運送業を経験。「運送業では運営面含め、さまざまな経験とご縁をいただきました。ご縁を感じるほど、私が運んでいる商品は提供側とエンドユーザをつなぐ想いの表れなんだなと感じるようになっていきました。ですので、お届けするときはピチッと置きたいんです。
誰が見てなくても、自分は見てるんだぞって」と微笑む。「当社には行動指針が5つ(誠実・創意・挑戦・こだわり・実践主義)あるのですが、最初の3つは個人事業主の頃から大切にしているものです」。
現在は10年後を見つめ、運送業務の割合を意図的に縮小。スタッフと育んできた、強みを活かす経営へと力強く歩みを進めている。「物流とはインフラになる、ということであり、また、お客様と近い存在であることを意味します。人の心に寄り添いたい。これは全社で大切にしていることです」と都丸氏。「と、いまだから述べられますが、変化は同友会への参加から起こりました」。
同友会との出会いと社内の変化
「東京同友会の紹介は同業の福田健作さん(練馬支部)からでした。2013 年の入会当時、私は規模を求める事業展開をする一方、他者に弱みを見せられないなど悩み多き時期でした」と振り返る。「仕事はいただけども私の思い付きでコロコロ変わって、社内に影響を及ぼしたり…加えて利益もでない。本当は苦しくって、その中で成文化セミナーを2017年に受講」。「自分のメンツ?夢ってなんだろう?など考え、原点に立ち戻ろうと決めます。そうして合宿から社内に戻ると、現場でいろいろと工夫をしてくれてきたメンバーがいたことに気がついたのです」と手元を見つめる。「大変でした」と図らずも声をもらしつつ、変化が起き始めたのは翌年2018年の経営指針発表のあと。都丸氏は社員の自主性を尊重し、寄り添うよう決心。現場にも出ないようにした。「90名いたスタッフのうち、3名が経営指針に共感をしてくれました。寄り添いと放任の違いも分からずでしたが、やがてスタッフ間での変化が生まれ始めました」と嬉しそうに語る。「それから5〜6年経ち、利益は10倍になっています。また、現場にも呼ばれないので、私はいらなかったんだなって改めて思います」と朗らかに冗談も挟む。
スタッフさんの声と全社の夢
インタビュー中、都丸氏は社員さんとどのようなコミュニケーションをとられているのか疑問に思い、質問をした。すると「その質問なら、いま休憩している社員がいるので直接聞いてみてください」との回答。以下は社員さんの声である。
「いくつかあるミーティングや会話の中に社長がいる時は時折、〝それって感謝だよね〞とか感想を述べてくれるんです。それで私たちも気付きをもらったりします」。「人に対しての気遣いが言動から感じます。受け入れて聴いてくれるし、でも芯があると感じるんです」。そして2018 年の経営指針発表時に共感してくれた社員さんは「あっ、社長、本気だって感じました。都丸は自分が変わらないとと考えていたと思うのですが、それが私にも伝わったんです」との声をくれた。
ディーエスピーではコロナ禍、10年ビジョンを社内で語り合い更新。また自社の強み弱みも社員間で分析され、カスタマーチームからは、圧倒的なファンづくりという言葉が生まれた。長期的な仮想ライバルは、ネットショッピングで圧倒的な顧客満足度を誇る世界企業ザッポスになったという。
「ご縁は大切。ここはぶれてはいけない。物流は想い。全国にだってつながれるのです。幸い、クライアントの業績も伸びています。私たちもよきパートナーとして提案もし続け、つながる先々を笑顔にしていきたい」と作業現場を都丸氏は見つめた。