第1回「人を生かす経営」大賞発表
第1回 人を生かす経営大賞発表
大賞
三和電気株式会社
講評として会内外で構成された11名の選考委員を代表し大脇選考委員長から、各企業より提出された資料を基に定量的かつ定性的に検討を行ったこと。選考の判断基準を「科学性、社会性、人間性」の3点を軸に評価したことが述べられ、選考には各社甲乙つけがたく多くの時間を要したことが説明されました。
講評
まず科学性として定量的判断の指標として経済産業省のローカルベンチマークを活用。各社を数値化したうえで、新製品・新技術・新サービスの開発状況。経営の合理化と生産性の向上などの施策面、更に外部表彰歴や社員の採用や定着状況を選考の評価としました。
次に社会性、人間性については定性的な視点で評価し同友会の「人を生かす経営」にある経営理念の浸透や、雇用、教育、労働改善等による社員の自発性向上に向けた施策面。社会性として地域、産業、社会等への貢献面を評価基準としました。
最後に同友会の学びや労使見解の総合実践が取り組まれているかについても評価し、中小企業経営者が目指す企業モデルとなりうる企業を選考しました。そして最終選考に残った6社についてはいずれも優れた経営実践であり、今回は審査員の総意として全ての企業に奨励賞を授与いたします。
その上で6社から各指標や経営実践について選考を重ね「人を生かす経営大賞」と経営大賞に次いで高い評価を得た企業を「審査員特別賞」として選考するに至りました。
◎大賞
三和電気株式会社
〜オンリーワンは常なる学びと革新の中にあり〜
会長(前社長)の代から同友会に積極的に参加し、社長を筆頭に同友会の経営労働委員会、共同求人、共育委員会の活動や支部活動からたゆまぬ学びを重ね、66年間連続黒字を達成しました。
その取り組みは時代の変化をとらえており、女性工場長の登用、売り上げ8割のフィラメント事業が減少するのを見込み、新分野、新事業に挑戦しリストラなしに10年かけて事業転換を成し遂げた事は、コロナ禍にあっても揺るがない強靭な経営体質を築いていることがあります。
製造業の魅力と未来について燃えるインターンシップを主宰し、他の製造業も巻き込みながら学生と地元バスケットボールクラブとスポーツイベントを主催するなど地域のリーダーシップカンパニーとして中小企業の魅力を発信し続けていること。社内では、世界最小のマイクロコイルを若手とベテランがコンビを組み開発。2022年にギネス世界認定を受け技能の伝承とものづくりの可能性を社内外に示すことで100 年企業100 億企業、新事業新分野を見据えた未来企業を社内目標に掲げモチベーションを上げ全社一丸の企業づくりに邁進していること。こうした実践をふまえ同友会会員が目指すべき企業のモデルとして第一回人を生かす大賞を授与することに決まりました。
◎審査員特別賞
三興塗料株式会社
〜社員を大切にする事が自社の強みへ〜
同友会の共育委員会や共同求人委員会を企業づくりの軸にすえて連続増収増益で定性評価が高い結果をしめした同社。企業理念として社員、仕入先、お客様、地域社会、株主の5方良しの経営を目指しています。
それは社員を大切にする企業づくりを行っている事。年収アップにつなげるため粗利益率、粗利益額に重点を置き、経営計画書を作成している事。全社員一人ひとりが塗料調合における「手間暇かけた工夫」を心がけ顧客ニーズに寄り添う企業風土を醸成している事。地元小学校と社員が連携し通学路の壁面にSDGs を掲げ志村ペイントプロジェクトを主催するなど街づくりに貢献し地域からの信頼を得ている事です。
また、コロナ禍では消毒用エタノールを仕入れ販売し時代のニーズに即した新市場や新製品への挑戦を行うなど新しい課題にも柔軟に対応している点を評価しました。
以上を総合的に評価し審査員特別賞を授与する事としました。
賞の設立と目的について
この賞の設立は2年前「会員企業が政府機関や団体から表彰を受けていることを会員の誇りとして同友会でも表彰してみては」との声をきっかけに経営労働、共同求人、共育、多様性の四委員会が中心となって賞の設立と準備を進めてきました。
目的は、同友会企業で優れた経営実践を行う企業を「人を生かす経営大賞」として表彰し、今後のさらなる経営の励みとなるよう会員全体でその功績を称える。また受賞企業の功績を会内外に広報し「人を生かす経営」の優れた経営実践を運動として広げていくことを目的とする。」としています。
四委員会では目的、名称、選考方法などを議論する過程で、同友会で学び実践し、労使見解に照らしながら企業や国民からも信頼され評価され、中小企業として目標となる企業像を基本に選考を進めることを確認してきました。
評価の基準は大きく3つ、定量評価として決算書をベースに経済産業省のローカルベンチマークを、定性評価として労使見解に照らして経営理念の浸透から始まり科学性としての新製品、新技術、新サービスの開発、経営の合理化、生産性の向上等の施策面。人間性としての雇用、教育、労働環境改善等による社員の自発性向上に向けた施策面。社会性として地域、産業、社会等への貢献面。そして今後の自社の展望について。最後に同友会での学びと実践を評価しています。
選考委員には、学識経験者、金融機関、中同協を含め外部機関の皆様にもご協力もいただき、選考委員11名とより幅の広い選考を心がけました。
エントリー企業には書類選考、二次審査と100 枚を超える書類提出をいただいた企業も多く、どの企業も甲乙つけがたく選考には2か月の期間を設け厳正に審査を行い大賞を決定しました。
今後東京同友会の新たな試みとして、毎年総会に合わせ人を生かす経営大賞を表彰します。同友会での学びを経た企業が社会から信頼され目指すべき企業として、より多く企業を輩出し表彰できることを主催者一同楽しみに継続的運動として取り組みたいと考えています。
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- 大賞
宮崎 裕二 三和電気株式会社 代表取締役 経営労働委員会
- 大賞
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- 審査員特別賞
清水 雄一郎 三興塗料株式会社 代表取締役 板橋支部
- 審査員特別賞
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- 奨励賞
山下 奈々子 株式会社ワイズインフィニティ 代表取締役 港支部・多様性委員会
佐藤 修哉 株式会社佐藤製作所 常務取締役 大田支部
白川 亜弥 株式会社白川プロ 代表取締役 共育委員会
宮崎 裕二 三和電気株式会社 代表取締役 経営労働委員会
清水 雄一郎 三興塗料株式会社 代表取締役 板橋支部
宇佐見 聡 株式会社セーフティ&ベル 代表取締役 共同求人委員会
- 奨励賞
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- 選考委員名
駒澤大学経済学部教授 長山 宗広
日本政策金融公庫東京支店長 鈴木 泉
中小企業家同友会全国協議会会長 広浜 泰久
代表理事(共同求人委員長) 大脇 耕司
代表理事 矢倉 保吏
代表理事 橋本 久美子
四委員長 木村 晃一
経営労働委員長 吉本 英治
共育委員長 磯部 泰司
多様な働き方推進委員長 高橋 大和
事務局長 林 隆史
- 選考委員名