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経営者Q&A

試用期間中の社員の勤務態度(2003年6月)

Q

幹部の推薦で入社させた社員がいます。2ヵ月が経過し仕事がとてもよくできるので本人の希望したOA関係の部署に配転しました。しかし、成績は芳しくなく、事あるごとに同僚や上司には「やめたいが頼まれたから仕方なく働いている」と不謹慎な態度をとります。皆が分担している清掃や電話受け、残業の要請もことごとく拒絶するので大変困っています。どうしたらいいでしょうか。

A

大変難しい問題です。方法は二通り考えられるでしょう。一つは「言って聞かせてさせてみる」、再度チャンスを与えること。もう一つはよく話し合って合意退職していただくことでしょう。
前者が常識的な方法だと思いますが、幹部のひきを盾に自信満々にことごとく業務命令が拒絶されるようでは先が思いやられます。その幹部の方を交えて話し合ってみましたか。

Q

幹部を交えて、話をしてみましたが、「私はきちんと仕事をしている。誰にも迷惑をかけていない」、逆に「私が仕方なく働いていると告げ口をしたのは誰か」の一点張りで、いつまでも反省の色は見えません。試用期間中だと言って解雇してもよいのでしょうか。

A

おそらく貴社の就業規則でも試用期間の範囲内ですね。ただ、だからと言って問答無用に解雇できるものではありません(ただ、期間中は通常の場合よりも比較的解雇の範囲が広いとは考えられています)。
まずは今の状態が続くようであれば、規定上も正式採用とならない旨(期間満了による本採用拒否)を伝え改善を働きかけてみてください。それでも見込みがないようであれば、現状のままでも十分理由((1)業務命令の拒絶、(2)服務規定上の協力、協調性のなさ等)があるから解雇せざるを得ない経営側の苦渋の選択にも触れてください。その際、本人に少し時間を与え、解雇ではなく、自主的に退職してもらう方が得策です。
ポイントは退職届(退職日が明記されているもの)の受領です。本人は動揺していますから、撤回ということも考えられます。受領したら直ちに権限のある社長名で承諾の文書を本人に渡してください。混乱を起こさずスムーズに合意退職をすすめることが決め手になるからです。一般に、退職願は使用者が承諾し相手に通知されるまでは撤回ができるとされていますから、本人の一方的意思表示で撤回のできない「辞職」の通知(民法627条第1項)をもらった方がトラブルを回避できるでしょう。

石田 仁(豊島支部)
経営コンサルタント DDK専務理事
TEL03-3980-8298

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