アメリカへの進出第一歩をどう踏むか?-会社とビザの話ー(2014年5月)
Q
市場拡大のため、アメリカ市場に進出したいと思います。アメリカでの会社設立をどう準備すればいいですか?
A
まず、最初に考慮すべき3つのポイントをご紹介します。
1 会社の種類
資本関係やどのようなビジネスを行うかによって選択できる会社組織は変わってきますが、100%日本の子会社あるいは、100%日本人のオーナーシップを持つアメリカ子会社を設立する場合、ほぼ株式会社(C Corporation)に限定されます。
アメリカのどの州で設立するのが良いか?については、初期段階ではその会社で実際に営業を行える州でまず一つ会社を設立すればOKです。
2 誰をアメリカ子会社の責任者にするのか?
誰をアメリカ子会社の責任者とするかは、どのビザ(渡航査証)を取得するかにもつながる問題です。移民政策の強化で近年ビザの取得は難しくなっています。ビジネスを進める上では、投資家ビザ(E-2)、企業内異動マネージャー(L-1A)、企業内異動スペシャリスト(L-1B)が基本的な選択肢になります。
a ) 投資家ビザ(E-2)
個人企業家、中堅から大企業の社長、課長以上の役職者向け。投資実績と現地企業規模相応の投資額が求められます。大使館で申請します。
b ) 企業内異動マネージャー(L-1A)
「マネージャー」レベル、課長以上の役職者ですが、会社立ち上げなどの任務を担って渡航する場合、実績がまだない段階では通りやすいビザです。米国の移民局に申請、その後ビザスタンプ取得の段階で大使館(領事館)に申請します。
c )企業内異動スペシャリスト(L-1B)
L-1A の専門スタッフ版という位置づけです。アメリカでどうしても雇うことが出来ない専門スタッフを日本から送る際に使われるビザです。3 年以上の経験があれば、
その分野の「専門家」と主張することが可能です。手続きはb)と同じです。
3 どのくらいの投資が最低限必要なのか?
決まった金額はないのですが、私が手がけたコンサルティング事務所や士業の方のアメリカ法人は、数百万円で開業し、EやLなどのビザを取得しています。
鍵は「圧倒的に十分な資金が投資できないならば、しっかりしたビジネスプランを示す」ことです。移民局が一番気にする点は、投資家として入国したり、企業内異動として入国しても、経営がうまくいかない結果、アメリカに違法移民として残ってしまう人が出てくることです。したがって、大きな投資金額で成功や安定性が担保されていないならば、成功への固いシナリオ(ビジネスプラン)が重要なアピールポイントになります。
奥山 英二(港支部)
ストラテジック・リーガル・ソリューションズ・インク 代表
ニューヨーク州弁護士
ニューハンプシャー州公認会計士
E-mail : eokuyama@gmail.com