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経営者Q&A

派遣法改正と中小企業への影響(2014年6月)

Q

平成27 年4 月1 日施行予定の派遣法改正案が国会に提出されました。今回の改正は中小企業にどのような影響をもたらすのでしょうか?

A
「派遣可能期間の基準」の改正
 今回の最も大きな改正点は、「派遣可能期間の基準」が変わることです。従来は、「専門26 業種」は派遣期間制限なし、「一般業種」は最長3 年とされていましたが、今回はその区分を廃止するとともに、判断基準を「業務」ではなく、派遣される特定の「個人」に変えます。
 つまり、いままでは一つの「業務」につき派遣を受け入れられる期間は原則3 年(専門26業種は制限なし)でしたが、今後は業務を問わず、かつ専門26 業種であるか否かを問わず、特定の「人」を派遣として受け入れられる期間が3 年以内に制限されます。逆に言えば、「人」さえ代わればその業務にずっと派遣を受け入れられることになります。なお、これは派遣元で有期雇用となっている人の扱いで、派遣元で無期雇用されている「人」の派遣受入可能期間は制限がありません。
 今改正で最も大きな影響を受けるのは従来の「専門26 業種」の労働者です。同じ派遣先に3年を越えて派遣されることができなくなるからです。また、企業はより多くの業務を派遣に任せることになると予想され、派遣という身分の固定化につながるという批判が労働界からは寄せられています。
特定派遣廃止、許可制への移行
 改正案は、派遣会社に労働者の雇用安定措置を厳格に求めた場合、派遣会社の経営が安定していることが必要であるとして、特定派遣制度を廃止し、すべて許可制にするとしています。
 個人でも届出だけで開業できる特定派遣の事業所数は、平成23 年時点で約5 万3 千件、許可が必要な一般派遣事業所数の2.7 倍もあります。中小派遣会社の大半は特定派遣です。許認可制に移行する条件は、少なくとも現行の一般派遣の許可条件(例えば、①事業資金は「事業所数× 1,500 万円以上」、②事業所面積は「事
業所数× 20㎡以上」など)以上になると予想されます。中小派遣会社にとっては打撃です。
偽装請負には厳しい罰則
 「契約方式を請負にすれば大丈夫」と安易に考えておられる方がいます。IT 会社では、2 次請け、3 次請けの技術者を派遣する多重派遣型の偽装請負が多いと言われています。
 しかし、これは派遣法違反で最悪業務停止、許可取消の処分を受ける可能性があります。また、職業安定法違反として最悪「1 年以下の懲役または100 万円以下の罰金」がユーザー企業にも派遣元に課される可能性があり、気を付けなければなりません。

鎌田 勝典(中央区支部)
社会保険労務士法人
オフィス・サポート

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