自社株の後継者への譲渡・贈与について(1999年2月)
現在のように土地の価格が下がり、株価も一万四千円を切っている状況で経営者としてどんなことを実行したらよいでしょうか。
こんな時こそ、自社株を後継者に譲ることです。
どうしてですか?
自社株の評価は、会社の規模により違います。
1)大会社の場合:類似業種比準方式
2)中会社の場合:類似業種比準方式と純資産方式の併用方式
3)小会社の場合:純資産方式 簡単にいえば、類似業種方式のベースは、証券所に上場している株価です。また、純資産方式のベースは、土地の価格です。
ですから、土地が下がり、株価が下がっている現在の状況では、自社株も必然的に下がるわけです。
具体的にはどうしたらよいでしょうか?
まず、自社の株価を計算することです。
◎類似業種比準方式
自社株価=類似業種株価×配当率×利益率×純資産率×0・7
◎純資産方式
自社株価=〔相続税の評価による純資産額-(相続税の評価による純資産額-帳簿評価額による純資産額)×47%〕
次に、誰に移動するかを決めてください。
そして、譲渡か贈与かを決めることになります。
譲渡ですと譲渡人(売却した人)に所得税がかかります。譲渡による所得税は、(譲渡価格額面額)×26%です。
[ 贈与は毎年少しずつ ]
また、贈与ですと譲受人(もらった人)に贈与税が課税されます。贈与税は累進税率で高率ですので、毎年少しずつ税負担を考えて贈与することを勧めます。かならず、贈与税の申告をすることにより贈与したという証拠としてください。
さらに、通常株式会社の場合は「譲渡制限」が定款に規定されているのが一般的ですので、取締役会の承認の議事録を作成する必要があります。また、譲渡の場合には有価証券取引税の納付が必要になります。税額は、譲渡価格の万分の十の印紙で納付します。
まさに、株式を後継者に譲る絶好のチャンスと言えましょう。こういう時に、株式の移動と後継者問題を考えてください。
(株)会計情報アカデミー 鎌田史郎(税理士)
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