東南アジア進出に伴う技術保全と模倣対策について(2019年10月)
発展の著しい東南アジアへの進出を考えています。技術や商品名の模倣も心配されますが、特許などの知財を活用することができるでしょうか。
模倣や技術流失への懸念はあります。 私は、現地に進出して生産し、商品を売 ることは、従業員がノウ・ハウを知り、買った 人は商品の良さを知ることになるので、流失を 完全に防止することは難しいと考えています。 模倣される期間をいかに長くし、改良品を出し 続けるかにあると思います。
特許や商標を利用することも方策の一つで す。商標は東南アジアでもそれなりに整備され ているので、取得して、ブランド保全に役立て てください。特許は登録までの期間が長く(タ イでは6年以上)、権利行使が難しい場合があり ますが、ノウ・ハウとして秘匿できないものは 出願しておく方が交渉力はあると思います。 進出国から先進国へ輸出する場合は、先進国 で特許をとれば、押さえることができます。東 南アジアで製品を売る場合は、現地にあった製 品や商品である必要があります。例えば、停電が頻発する地域で冷凍品は売れるのかなど。日本の旧式のようなものを製造販売するのでは、特許をとるのは簡単ではないので、現地にあった工夫を考えてください。
進出国でどのような事業を行うのか、将来どうするかを考慮した知財の活用を考え、具体的に獲得していくのが上策ですので、事業戦略を立てください。その際に事例の研究や専門家に相談してください。
例えば、参考知財活用の事例として、「特許庁HP「知的財産権活用企業事例集2018」があります。
https://www.jpo.go.jp/support/example/kigyou_jireii2018.html#bunya01
知的財産権を取得することで、市場を獲得・拡大した中小企業の52 事例を紹介した事例が分野別に掲載されている。この事例集は、2014年版、2016 年版もあります。
海外で特許権等を取得する場合、資金的補助制度はありますか。
海外への出願費用補助制度は、特許庁やいろんな自治体で準備されています。
特許庁では、事業展開を計画している中小企業等に対して、外国出願にかかる費用の半額を助成する制度があります。( 独法)日本貿易振興機構(ジェトロ)と各都道府県等中小企業支援センター等が窓口です。地域団体商標の外国出願、「ハーグ協定に基づく意匠の国際出願」も対象です。
(参考)特許庁H P「外国出願に要する費用の半額を補助します」
https://www.jpo.go.jp/support/chusho/shien_gaikokusyutugan.html
一般的に、弁理士に依頼して外国出願を行いますが、社内の秘密情報に触れることになるので、相性をみて長くお付き合いのできる弁理士が大事です。