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経営者Q&A

法人設立:法人形態は何を基準に選べばよいか?(2021年9月)

Q

当社は、都内で介護タクシー事業を営んでおります。この度、近隣の同業者有志と協力して、新規事業として高齢者、障害者、障害児を対象とした福祉介護事業を開始するため、新たに法人を設立することになりました。
しかし発起人の間では、今回設立する法人を株式会社、特定非営利活動法人(以下、NPO法人)、一般社団法人のいずれにすべきか意見が分かれております。法人形態は、何を基準にして選択すべきでしょうか?

A

私見ですが、各法人形態の特色について簡単にまとめます。

①株式会社

  • 設立に手間と費用と時間がかかるものの、比較的短期間で設立可能。設立コストは最大?
  • 行政の補助金制度を利用するにあたり、不利に扱われる場合がある。(営利法人であるため)
  • 新規創業扱いで融資を受けられる可能性が高い。
  • 譲渡制限会社であれば役員の任期は最長10 年に伸ばせる。

②NPO法人

  • 設立には所轄庁に対し設立認証申請が必要。手続に要する期間が長いため、事業開始は当然遅くなる。
  • 運営上、所轄庁の監督を受ける。定款変更もケースによってはかなり面倒。新規事業に対する即応性は最も低い。変更の都度の登記だけでなく、所轄庁への各種届出も頻繁に必要になる。特に毎年の事業報告は重要。
  • 税金の面では営利法人よりも優遇される場合あり。
  • 役員報酬の支給には注意が必要。(基本的に好ましくない。)
  • 非営利性確保のため、役員の就任に制限が多い。(親族の就任が制限される等)
  • 役員の任期は短い。(2 年)
  • 資金調達は株式会社に比べると不利と言われる。
    但し登記手続に関する金銭的コストは最安。
  • 設立時に10 名以上の社員(法人の総会に出席して意思決定に関与する法人構成員のこと)が必要とされるため、大人数で事業を進める場合に適していると思われる。しかし、これが設立と管理運営のネックになる場合あり。

③一般社団法人

  • 設立手続きは株式会社に類似するが、より低費用で迅速にできる。(設立に際し出資が要件とされておらず、設立登記の免許税も低額なため。)
  • 資産の裏付けが乏しいせいなのか、創業時の融資は受けにくい模様。
  • 行政の補助金制度では、非営利の公益法人等として扱われ、優遇される場合がある。
  • 役員の任期は短い。(理事は2年 監事は4年)
  • 非営利型法人として設立すれば、いくらか税制上の優遇がある。但し役員の就任や解散時の残余財産の処分等、一定の制約が生じる。
  • 理事、監事等の機関構成は比較的柔軟に選択できる。監事はケースによっては不要。
  • 制度上、株式会社のように1人での設立は不可。
    非営利型法人の場合は3名以上の理事が必要。

理事会主導型のNPO法人を設立する場合や、非営利型の一般社団法人を設立する場合は、定款作成時に一工夫要りますから、経験のある専門家に相談した方が良いでしょう。どの選択が最良かは、各法人形態とも一長一短であるため、非常に判断が難しいところです。各法人形態の長所短所をよく検討した上で、最適と思われる法人を設立してください。

幸野 茂人(足立支部)
幸野行政書士事務所
行政書士
TEL:03-3853-2372

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