相続に関する改正について(2021年12月)
「 特別寄与者による特別寄与料という制度」があるそうですが、どのような内容ですか?
「被相続人に対し、無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族は、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払いを請求できる(民法第1050 条)。
これは、既に存在する「寄与分の制度(民法第904 条の2)」が、「相続人」にしか認められない不都合があった為、「相続人でない親族」にも認めることにし、不公平を解消しようとしたものです。
例えば、相続人の妻が、被相続人(夫の父)の療養看護に努めた場合などが考えられます。
この制度の利用にあたって特に注意すべきは、以下の点です。
1. 請求できるのは、「相続人以外の被相続人の親族(六親等内の血族、配偶者、 三親等内の姻族)」であり、内縁の配偶者などはできません。
2. 無償で療養看護、その他の労務を提供したことにより被相続人の財産の維持又は増加に「特別の寄与」をしたこと ここでいう「特別の寄与」とは、「その者の貢献に報いるのが相当と認められる程度の顕著な貢献があったこと」と解されています。
3. 特別寄与料の支払いについて、協議が調わない又はできないときは、家庭裁判所に対し調停・審判の申立てをすることになります。但し、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から6 か月以内及び相続開始から1 年以内という期間制限があります。
相続登記の申請が義務化されるというのは、本当ですか?
はい、本当です。所有者不明土地の発生を予防する為、その原因である「相続登記の未了」や「住所変更登記等の未了」に対応するべく不動産登記法が改正され、2024 年から施行される予定です。
(1)相続登記の申請の義務化
「不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3 年以内に相続登記の申請を義務づけ、正当な理由もなくその申請を怠ったときは、10 万円以下の過料に処する。」
※最終的に所有権の取得者が確定するまでの暫定的な「相続人申告登記」所有権の登記名義人について相続が開始した旨と、自らがその相続人である旨を、3 年以内に登記官に申し出れば、申し出をした相続人は、申請義務を履行したものとみなされ、申出をした相続人の氏名・住所等が職権で登記に付記されます。但し、その後に遺産分割が成立したら、遺産分割成立日から3 年以内に、その内容を踏まえた相続登記の申請を行う必要があります。
(2)住所変更登記等の申請の義務化
「所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2 年以内にその変更登記の申請を義務づけ、正当な理由もなくその申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処する。」
※手続の簡素化・合理化を図る観点から、「登記官が他の公的機関から取得した情報により、登記官が職権的に変更登記をする新たな方策」も導入されました。
小西 明夫(新宿支部)
小西司法書士事務所
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