職場におけるパワーハラスメント防止法が求める対応について(2022年1月)
中小企業も職場のパワハラ対策をしなければならないと聞きました。何をすればよいですか?
パワハラ防止措置を企業に義務付ける法律が2020 年6 月1 日から大企業に適用されていましたが、中小企業も2022 年4 月1 日から適用されます。
本法では、パワハラによって労働者の就業環境が害されることのないように相談に応じ、適切に対応するための必要な体制の整備を企業の義務とし、またパワハラ防止の研修の実施を努力義務としています。
【パワハラ防止法成立の背景】
「職場のいじめ・嫌がらせ(パワハラ)」に関する民事上の個別労働紛争の相談件数が2012 年度に「解雇」を抜いて1 位(51,670 件)になり、2019 年度は過去最高の85,570 件と8 年連続で右肩上がりに増加していることが背景にあります。
【パワハラの定義】
職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素を全て満たすものをいいます。
【パワハラの6つの行為類型】
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間はずし・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性のない、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
【具体的なパワハラ防止措置(義務)】
(1)事業主の方針等を明確化および労働者への周知・啓発
(2)労働者からの苦情を含む相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
(3)職場におけるパワハラに係る事実関係の迅速かつ正確な確認と適正な対応
(1)~(3)と併せて、プライバシー保護のために必要な措置を講じることや、パワハラの申告を理由に労働者の解雇や不利益な取り扱いをしないこと。
【パワハラ対策に取り組むことのメリット】
職場の人間関係が良くなる、報告・連絡・相談がスムーズになる、職場の雰囲気が明るくなる、離職率が下がる、仕事に集中できるなど。
パワハラ対策に本気で取り組み、労働者が働きやすい職場を作れば、会社への貢献意欲が高まり、労働生産性が上がります。
アフターコロナに向けて早めに準備しましょう。
大谷 雄二(大田支部)
ソラーレ社会保険労務士法人
代表社員 特定社会保険労務士
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