消費税が還付される場合とは?(2001年9月)
消費税を国から返してもらうことができる場合がある」と聞いたのですが?
消費税は、お客様から預かった消費税から自社が支払った消費税を差し引いた分を国に払っています。通常は、預かり分が支払分を上回っているので、国への納税になるわけです。還付されるとは、この逆のパターンになります。つまり、支払分が預かり分より多いので、その差額を還付してもらうということです。
ビルや工場を建てたときには、消費税の支払いが例年よりも多くなるので、還付の可能性が高くなります。例えば、その建物の建築費が1億円とすれば、支払消費税は500万円になります。通常の事業年度で300万円の消費税を国に納付しているのであれば、単純計算ですが200万円は還付されます。
しかし日本中のすべての法人が国に消費税を納めているわけではありません。ちょっと、専門的になりますが、国に消費税を納める義務がある法人は以下の場合が原則です。
基準期間(当期の2年前の事業年度とご理解ください)の売上高が3000万円を超えていると、当期について納税義務が生じます。ここが分かりづらいところです。当期の売上げで判定はしません。納税義務がある事業者を「課税事業者」といいます。3000万円以下ですと納めなくてもすみます。「免税事業者」といいます。「課税事業者」ならば、通常の計算をし、消費税の申告書を提出すれば還付されます。
問題は「免税事業者」の場合です。例年は消費税の申告をしなくてもすんでいるため、あえて「課税事業者」とならなければなりません。ここで、税務署に届出書の提出が必要となります。「課税事業者選択届出書」という書類を、還付されるであろう事業年度の開始日の前日までには提出しておかなければなりません。法人税の申告書の提出日ではありませんので注意が必要です。ただし、この書類を提出すると2年間は「課税事業者」となりますので、還付された翌事業年度は納税の可能性が出ます。
そのためには何を準備しておく必要がありますか?
新事業年度開始前に2事業年度分の仮計算をし、通算して還付額が発生すれば、届出書を提出し、納税となれば何もしないということになります。「課税事業者」でも、「簡易課税方式」といって、売上げだけから消費税を計算している場合は、実際に支払った消費税を考慮しないため、還付されません。この場合は、「簡易課税制度選択不適用届出書」を上記と同じ日までに税務署に提出する必要があります。それぞれ、たった1枚の紙切れにすぎませんが、とても重要な紙となります。期限に遅れても、税務署は絶対おまけしてくれません。期限が法律で定まっているからです。多額の設備投資を検討されている社長さんは、ぜひこれらのご検討をしてみてはいかがでしょうか。
佐藤 治夫(新宿支部)
佐藤税理士事務所
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