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中小企業家群像

街の安心を支える 不動産実務に精通した法律家
高田馬場総合法律事務所 太田 茂 氏(板橋支部)

高田馬場総合法律事務所
所長 弁護士
太田 茂 氏

東京都新宿区高田馬場1-28-10
三慶ビル5 階
関連事業 ㈱まちづくり高田馬場
     (一社)全国相続・事業承継総合支援センター

高田馬場駅近くに太田茂弁護士の高田馬場総合法律事務所はある。2015年10月に事務所を開設した。太田さんは開業するにあたって、「育てられたこの高田馬場という街に貢献できる弁護士でありたい」と強く思った。弁護士事務所の開業と併せて、㈱まちづくり高田馬場を設立し、高田馬場で新たにビジネスを手掛ける人と街をつなぐ関わりになるきっかけとしての場を提供している。その事業として「ケイス新宿(CASE Shinjuku)というシェアオフィス&コワーキングスペースを運営。五周年を迎え、合わせて150坪にプライベートオフィスとイベントスペースを備え、地域創業アドバイザーの認定を受け、女性・若者・シニアの創業サポートも行っている。

太田茂さんは江戸城を築城したことで知られる太田道灌の子孫だ。当初司法試験を目指して勉強していたがなかな合格せず、宅地建物取引士の資格を取り不動産関係の仕事に従事していた。だらだらとした生活をしていたところ、その当時付き合っていた彼女から、「もう一度司法試験をやってみたら」と薦められ法律家を志したという異色の経験を持つ。

充実感や喜びをどの様なときに感じるかと聞いてみた。「嬉しかったのは、依頼者が、相談したことで家族の笑顔が増えたり、経済的な負担が少なくなったと喜んでくれたことですね」。がっかりすることは、弁護士の活動を評価してくれない相談者の方と出会うことですと、苦笑する。

産業構造も市民の生活も多様化し複雑化して市民の権利意識が高まっていく中で、それぞれの問題に対応していくことがとても難しいのではないかとお聞きしたところ、現在は受任する事件の種類を絞り込むことを決めて、不動産実務に精通した法律家として、不動産関係の事件を中心に、相続問題、離婚問題、中小企業支援などに取り組んで地元に貢献したいと語る。

「訴訟までいくと双方にとっていいことは何もありません。訴訟は後ろ向きでかつ多大なエネルギーを使います。そうならないために、弁護士として何をすればいいのか。出した答えは依頼者の気づきを導くお手伝いをすること。様々な問題はコミュニケーションの不足から起こることが多いのです。そのためにビジネスコーチングに加えてチームコーチングの資格を取得しました。まずは私自身が依頼者とのしっかりとしたコミュニケーションを築き、依頼者が自分で問題解決の道を決断する、どうすればいいかに気づくお手伝いをすること。それが私の仕事だと思っています。これって本来の弁護士の仕事ではないかもしれませんがね」と笑顔が輝く。印象的だったのは、千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長が校風の一大改革を行った話である。「固定観念をぶち壊せ」。その言葉が太田さんの背中を押している。

また、同友会などの出会いから8名のプロフェッショナルで(一社)全国相続・事業承継総合支援センターを立ち上げその代表を務めている。相続や事業承継のあらゆる課題をワンストップで支援する事業である。既に依頼したものについてのセカンドオピニオンとしても利用してほしいと言っている。

豊島支部に所属して太田さんは、支部会員の高齢化が進んでいた板橋支部を立て直すため、乞われて同友会板橋支部長となった。現在支部長6年目となる。太田さんの支部長を受けた当時は会員数が減少して消滅の危機と北部協内では心配されていた。幹事会では太田さんと事務局員の2名という時もあったという。託された太田さんの地道な努力のお蔭で板橋支部は会勢を盛り返し、アッパー50は目前となっている。支部会員の年齢もかなり若返った。託された状況を途中で投げだしていたら今の板橋支部の存在はない。普段から穏やかな印象を受ける太田支部長の強い意志が現在の板橋支部を存続させている。

太田さんは、支部長を受けたことで、多くの方々とのつながりができたことが大きな収穫だと言う。

道灌公と山吹の花の逸話がある。太田さんは山吹の花を差し出されたら、きっと優しい笑顔でその花を受け取る人であろう。信念を忍耐の衣で包んだ名将ここにあり。

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