社員の自主性が生み出すアイデアで はたらく現場のチームワークをサポートします。
株式会社オンザウェイ 野中 元樹 氏(町田支部)
株式会社オンザウェイ
代表取締役
野中元樹 氏
東京都町田市原町田5-14-18
設立1991 年 資本金 4000 万円 従業員数 48 名
事業内容 無線機の販売・リース・レンタル、無線機のサービス&サポート、オフィス用品・現場用品の通販
町田駅から徒歩10分、瀟洒(しょうしゃ)な佇まいの本社で、無線機の販売・リース・レンタルを生業とする㈱オンザウェイ。経営理念に「共に育つ」を掲げ、社員一人ひとりが共に幸せに生きるための経営を実直に進めている。
1978年、野中さんは大手電機メーカーの通信システムの保守・調整を請け負う会社を経営されていた父君の会社を盛り立てたいとの思いで出版社を辞め入社をした。脱下請けを目指す中、1991年に無線機販売部門を分離させる形で起業した。
マンションの小さな一室で社員5人のスタートである。
最初はトラックやタクシーで使用する無線機の販売が主だったが、携帯電話が普及してくることで多くの顧客から無線機の需要が減っていった。アスクルの販売店など時代を先取りする事業に取り組むが創業七年目に大きな赤字を出した。社員が退職していき精神的に追い詰められた。
そんなときに友人から、「マクドナルドのイベント運営で一日だけ無線機を10台借りられないか?」という問い合わせが来た。そのことがきっかけで全国のイベント会社にDMを打ってみると無線機の需要がかなりあることが分かり、1998年にレンタル事業を始めた。オンザウエイは飛躍の足掛かりをつかんだのだ。
今では国際会議や、東京マラソン、東京モーターショーなどのビッグイベントから町内会のイベントまで声がかかる。また、トラック、タクシー、警備会社、レストラン、ホテル、学校等々全国1000事業所に常時18000台の無線機を貸し出している。
オンザウェイの強みは何か?それは現場で的確な判断を下せる力を持ち、顧客と強い信頼関係を構築しているスタッフの存在だ。無線機のレンタル・リースは大きなリスクを伴う。1台10万円もする無線機を自社で保有し、顧客に貸し出し、回収する。紛失、故障、料金回収等、様々なリスクを克服し、多くの実績を作っているのは現場の最前線で働くスタッフの力であると野中さんは語る。
取材時、朝礼から参加させていただいた。社員の発言が活発に飛び交っている。
仕事の成果や今日の目標、業務報告等、全員で課題や情報を共有することで社員の成長を促している。お互いの信頼感が醸成される雰囲気が満ち溢れている。
朝礼の後に社内を案内していただいた。中庭があり、それぞれの部署から緑爽やかな風を感じる設計。どこの部署に案内されても社内での上下関係を示すものはなく、「エコロジー」、「バリアフリー」、「ダイバーシティ」が巧みに組み合わされて多様な人が気持ちよく働ける環境だ。素晴らしい労働環境を社員に提供している。
オフィスのほぼ中央に起業時に特注した大きな木製の円卓がある。円卓には上座も下座もない。お互いに顔を見ながら働く仲間一人ひとりが主人公となる会社を目指している野中さんの原点ともいえる貴重な円卓だ。そういえば、朝礼も円形で行っていた。野中さんは言う。「私は社員という言葉を使いたくないのです。みんなは仲間なんです。その仲間たちと実り豊かな時を共有できる会社にしたい」と。野中さんの目指す「共に育つ」経営そのものを感じた。オンザウェイ、「道の途中」共に向かう先にあるものは・・・。
その昔、武者小路実篤がユートピアを作ろうと目指した「新しき村」の世界と同じ中小企業経営者の本質的なロマンを感じさせてくれた取材であった。