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中小企業家群像

私たちにできることを確実に ハミングバードに込めた思い
昭和運送株式会社 高田 一夫 氏(品川支部)

昭和運送株式会社(品川支部)
代表取締役
高田 一夫 氏
東京都品川区旗の台2-2-20
創業 1955 年
資本金 1500 万円
従業員数 18 人
事業内容 一般区域貨物自動車運送事業・貸切運送・引越・重量物・自動車運送取扱事業

東急池上線は楽しい。五反田駅から乗り換えると10分足らずで旗の台駅。降りて間もなく昭和運送㈱は見つかった。満面の笑みで出迎えていただいたのが高田社長。

この日主役の向こうを張ったのがクラシックカー「ランチア・フルビア・クーペラリー1・3S」。由緒正しいイタリア製である。何せ応接のテーブルの向こうに颯爽と誇らしげに光り輝いて居座っていたのだった。社屋の一番いい場所にである。

話題は当然この事から始まる。この9月22日熱海で開催されたヒストリカグランプリで堂々の優勝だったとか。通常はアルファロメオが愛車。あの自動車評論家、徳大寺有恒だったらなんと誉めただろうか。

社業を継いだのは父親が倒れたせい。5人兄弟の末弟だった。二代目社長である。

創業は昭和13年リヤカーで始めた父親の高田運送店。茨城県の石岡の出身。高田一夫社長は東京での生まれ育ち。

運送業だけでは付加価値が低い。そこで目を付けたのは運んだものの現場設置だ。
日東工器㈱、昭和大学、昭和大学病院、㈱セーフティ&ベル、京浜急行電鉄㈱、京急不動産㈱など優良取引先が並ぶ。

平成3年ハミングバード引越センター、平成6年ハウスクリーニング・リフォーム事業を開始、そして平成20年5月に産廃収集運搬開始など時流に合わせて業容を拡大発展してきた。「ハミングバード」は鳥類中最も小さい体重10グラム以下のハチドリ。ひとりの力は小さくとも自分のできることをやり続ける。そのひとしずくがお客様の喜びとなるようにとの思いを込めている。

「京急不動産には指定業者になり、城南地区の不動産会社さんにはお世話になりました」。と高田さんの笑みがゆるむ。

三畳一間の頃が懐かしいと言えるのも、現在の社業発展があってその言動を支えている。経営計画書をA4一枚の紙に書き、さわやか信用金庫に提出して融資を受けたのも東京同友会での勉強があったからこそと明るく謙虚な高田さんである。

品川支部で文化堂の後藤せき子さんから引き継いで、支部長を今から23年前の平成6年から5年間経験した時も理事会には副支部長や幹事のみなさんに代理出席を頼み、支部内での活動の密度を高めた。勿論、多忙な社業に齟齬(そご)をきたすことのないようにとの配慮もある。

品川支部は行政との連携が最もうまくいっている支部の一つでもある。大田支部と一緒に活動する立正大学との交流も20年を超えた。この支部の支部長を務めるのには同友会理念を会社の経営にも反映させて実績をあげることを要求される。
「自動車だけしかない人だから」奥様がポツリと漏らした一言は正鵠(せいこく)を得ていると感じられた。

バブル期の求人難の時に独特の工夫がある。

「私たちは、モータースポーツを目指す若者を対象に、(中略)即レースに通用するドライバーと企業、社会に貢献できる優秀な人材育成を目的とした、素晴らしいモータースポーツクラブです」。とハミングモータースポーツクラブの運営も手掛けている。若者が喜ぶわけだ。スポンサー企業の一つに㈱千代田エネルギーの名前もあった。

別れ際の高田一夫社長、その笑顔はランチア・フルビア・クーペラリー1・3S のように輝いて爽やかなのである。

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