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中小企業家群像

故障のない電源機器づくり それが私たちのやり甲斐です!
東京電源株式会社 夏目 孝之 氏(足立支部)

東京電源株式会社(足立支部)
会長
夏目 孝之 氏
東京都足立区入谷8 丁目1 番地17 号
設 立 1972 年9 月
資本金 1000 万円
社員数 12 名
業務内容 電源機器の設計・開発、無停電電源供給器の製造販売、耐雷トランスの製造販売
家業から企業に転換できた稀なケースだろう。
昭和42年6月、32歳の時、奥さんと二人で創業した個人企業を5年後には法人化。今やちょうど50年。この9月からは、ご子息の夏目昌彦さんに社長を譲渡し会長に就任した夏目孝之さん。笑顔が晴々としてさわやかな風情である。
お伺いしたこの日、これぞ真夏とばかりに暑い。奥様が用意された冷たい麦茶をいただきながら幾つか質問をする。
「別に苦労したことはありませんね」。他人事みたいに答える夏目会長。そんな筈はないのである。年に一回はボウリング大会をしたり、慰安旅行を計画したりと社員のために心配りを欠かさない。
いただいた名刺の裏には営業品目、CATV用電源機器、DC/ACインバーター、無停電電源装置・交流定電圧装置、直流定電圧装置・耐雷変圧器、そして設計・製造・販売とある。いずれも電気の基本製品である。とりわけ交流定電圧装置はこの製品群の中で最も古く長い歴史を持つものだろう。私もサラリーマン一年生の時から扱ってきた商品だ。
夏目会長は長野工業高校の電気科を卒業。18歳の希望をのせて当時社員26名の池上通信機㈱に就職。五年間在職して現在の仕事に関わる技術を習得する。同社は今でこそ上場企業だがオーディオのパイオニア、ケンウッド、山水など皆、町工場だった。日本の電気・電子の製造業が世界に向けて飛翔する助走の時代でもあった。
「変わろう!!存続への挑戦」応接室に掲示された意気込みである。「『故障のない電源機器づくり』それが私たちのやり甲斐です」。会社案内の挨拶が注目される。一般の人達にとって普段、目につくことのない基礎製品だけに、縁の下の力持ちはいつまでも信頼性の高い力持ちであることを義務付けられる。
それは経営理念の「一、我社は社員とその家族の物心両面での幸福を実現する」に端的に表現されている。専務取締役の中村雄一氏は甥ごさんである。全社員が夏目一族に同化して同じ目線で将来を見ているのだ。
新社長の昌彦氏は言う。「社員一人ひとりが自主性をもって、舞台で演技する役者であってほしい。私はその演出をするだけ、輝くのは演者、社員たちです」と。
会長は東京同友会歴36年の大ベテラン、足立支部長を二度経験している。息子の昌彦氏は文京支部の田川晃氏に誘われて入会。それで文京支部の会員である。後継社長に不安はありませんでしたか?の質問に。「父の背中を見て一緒に仕事をしてきたので何の不安もありません」。事業承継の理想を見た。
平成23年12月には足立区より足立ブランド(FC ADACHI)の認定を受けて地元での評価も高い。
忘れてはならないのが主力機種への注力はもとより協力会社とタイアップして電解水の販売に進出したことである。ビッグサイトでのショーで知り合い環境面での新分野を切り拓くことにした。
整然と行き届いた工場は同社の堅実さを物語って仕掛品が並んでいる。
この日は37.9度の猛暑。会長の好意に甘えて川口駅まで車で送っていただいた。
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